第69話 浮気? ~15時59分発近鉄四日市行き普通~
実家から帰ってきてからは、特に何もなく。夏休みは終了していった。久しぶりというのか。ちゃんとした、1人暮らし。1人の生活だった。途中メッセージで、宮町さんとは、よく連絡していたが、残りの夏休み中には会うことはなかった。宮町さんも早くこちらに帰って来たかったらしいが予定があって――。
結局休みが終わるギリギリまで愛知の方にいたらしい。数週間も宮町さんと会わなかったのは、多分初めてのことかと思う。休みに入るまでは、あんなに毎日普通に会っていたので。まあ、メッセージは頻繁にしていたから、姿を見なかった数週間ということか。たまに電話もあり声は聞いていたので。でもあれだけ毎日会っていたのが急に会わなくなるとなんか変な感じがした。
そして、今日は2年の後期の授業開始日。
早速だが、もうよくある当たり前の朝。いつもの川島駅で電車を待っていると。入って来た電車の車内でこちらに向かって笑顔で手を振っている人がいた。相変わらず、ピッタリというのか。場所完璧。毎度言っているが俺はこの電車に乗るとは誰にも言ってなかったはずなんだが。発信機でもつけられているのか……まさかね。
「楓君だー。おはよう。そして、久しぶりー。ちょっと日焼けした?」
「久しぶり。宮町さん。いや、まあ、特に何もしてないけど、実家で焼けたのかも」
「何週間ぶりかな?こんなに会わないなんてね」
「確かに。夏休みは一度も会わなかったからね」
「本当は、こんなはずじゃなかったのになー」
宮町さんと合流した。それから車内では、宮町さんの夏休み遊べなかった愚痴を聞いていた。本当にいろいろ予定があったらしい。と、そんなことを話していたら。終点に着いた。
「そういえば、柊も斎宮さんも乗ってこなかったね」
「あっ。そういえば、そうだね。夏休みのはじめは、沙夜ちゃんとも連絡してたんだけど、後半はしてないんだよね」
「宮町さん忙しそうだったもんね」
「ごめんね。楓君への返事も遅くて」
「いや、それは特に問題ないけど。そういえば、夏休み中。柊、斎宮さんとは、全く連絡してないかも」
「グループのメッセージ。この夏は使わなかったね」
「そういえば。そうだね。まあ、みんないろいろあったんだよ。春休みから見たら、そこまで長い休みでもないし。もしかしたら、夏休み前にある集中講義?とか受けていたかもしれないし」
などと、宮町さんと話しながら、講義室に行くと。
「海織ちゃん遅い!。あっ楓くんもいるー。って、もう聞いてよ!」
と、元気少女さん健在でした。というか、講義室でスタンバイしていました。早くからどちらかが来るのを待っていたのか、すでに、机の上には飲み物とお菓子?が散らかっていた。いつから居たんだろう斎宮さん……というか――これは、なんかあったような嫌な感じが――いや、あったな。
それから、講義が始まるまでの時間で――。
「っていうわけ。せっかく遊びに連れてってくれる言うからちょっと楽しみにしていたのに……行ってみたらオール絶叫系だよ?おかしくない?高いところから、ヒュー。とか。ビュンって落ちたり。ひどくない?私は乗らない言うのに、ニコニコ人を引っ張って――で、それだけでも、もうなん十発って仕返しって思ってたのに、そしたら、夏休み後半はサークルの人と出かけるとかで居ないし。どういうこと!?っか、あれ絶対サークルの人とかいいながらデートだし」
……うん。ま、まあ、いろいろ聞きました。はい。
結構熱く斎宮さん語りました。まあ、その途中で、柊が来て――。
「3人とも久しぶりー。って、休み明けから。沙夜は何騒いでるんだ?」
と、いつもの感じで登場。まるで、状況を知らない感じ。そして、斎宮さんが言っていたことを聞くと……。
「デート?いやいや、そんなわけないない。サークルのメンバーで旅行に行っただけだから。まあ、俺はいろいろ手伝っていたから、まあお礼みたいな感じで誘われかな。沙夜が1人で勘違いして騒いでるだけだよ」
などと、言っていたが……なんか。今回の斎宮さんは結構怒ってました。
宮町さんも隣で「楓君。これどうしよう、これ」だったが……まあ、柊がね。いろいろ言われているが。反応が普通過ぎるというか。なんか、話がかみ合わない。それもあってか、その日の講義が終わり。4人で帰っている時の、女の子2人との距離が遠い。俺は柊と2人で歩いているが、女の子2人は結構前を歩いている。
「で、なんで斎宮さんとのお出かけで、絶叫系にしたと?」
「なんか楓。変な訛りになった?」
「……なんとなく。話しやすい雰囲気を作ろうかと。で、斎宮さんどうするの?かなり怒ってない?」
「おかしいなー。本当は、怖がらせて、泣かせて俺、勝利のはずだったんだけど」
「……多分それは――無理かと」
「っか、確か――ちらっと、沙夜も一応誘ったけど「今から実家帰る!」とか言われたのと。その時も「また絶叫系連れてく気だ!」とか言われたから。まあ、いいかー。って。必死には誘わなかったけど」
「……まあ、なんというか。いろいろ起こしますね。ほんと」
「って、楓は、夏休み何してたんだ?」
「実家で、ドライブ。後半はのんびり1人生活」
「あれ?宮町さんとは、どこか行かなかったのか?付き合ってるのに」
「付き合ってはない……はずだが。って、宮町さんこっちにいなかったから」
「あー。そういうことか」
と、話しながら歩いていると、駅に着き。前を歩いていた女の子2人に追いつく。電車が行ったばかりで、次が、15時59分発なので、15分ほどまだ時間があった。普通なら、雑談というか。なんとなく話していたら時間が来たとかになるのだが――。
「ふん」
「沙夜ちゃん。そろそろ許してあげようよ。話したらわかるよ?」
まあ、見るからに、ご機嫌斜めの斎宮さん。ほんとどうするのこれ。
「柊。斎宮さん、本当に怒ってないか?これ」
「大丈夫大丈夫、数日で何とかなるから」
「……いや……どうだろう――」
「まあ、無理だったら、楓。よろしく」
「嫌だよ。この雰囲気絶対何か起こりそうだから」
「そういうときの楓」
「無理無理」
しばらく柊と斎宮さんの怪しい雰囲気は続いた。
にしても、斎宮さんを車内で静かにさせる方が大変だった。というか。この2人揉めている?割には、一緒に行動しているから……柊は普通なんだが。斎宮さんが柊を見るとというか。すぐヒートアップする。でも、家が同じところというのがあるからか。一緒の行動になりやすいのかもだけど。うーん。わからない。とにかく、車内ではお静かに。って、主に斎宮さんが叫びそうなだけなんだけど。
「次は蹴とばすし絶対」
「沙夜ちゃん抑えて抑えて」
宮町さんが、先ほどから斎宮さんの相手をしてくれているが――柊は、ほんと普通「相変わらず元気だなー」とかいい。斎宮さんの怒りゲージに燃料を投下してくれている。
これ、菰野駅着いた後、どうなるんだろうと思ったが。まあ、うん。気にしないことに。変にかかわると大変そうなので。
そして、2人が降りた後。
「大丈夫かな?2人にして」
宮町さんがそんなことを言っていたが。ほんと、どうなることか。
そして、この揉め事は、今回は、かなり長引くこととなった。斎宮さんが根に持ったというか――まあ絶叫が結構効いているような。
いや、柊がサークルの人と遊びに行ったから?うーん。
ちなみに、宮町さんも「全然だめ。沙夜ちゃんずっと、怒ってるよ」だった。
斎宮さんは、俺と、宮町さんと話している時は、普通に話してくれるのだが、柊が来ると、来るなり、すぐに機嫌が悪くなるので、どうしたことか。一方の柊は「今は、ほとぼりが冷めるまでのんびり待つ。があたりだな」とか言い。サークル行ったり。と、結構普通に過ごしていた。何だろう。この差。とか思いつつ。しばらく宮町さんと2人を見ていた。周りの方がなんか気を使い疲れるという感じだった。
ちなみに、柊と斎宮さんの問題もあるが。後期授業の俺のことも少し触れておく。
もちろんだが、後期も講義でほとんど埋まっている。が、大学生活で初めて、平日休み。月曜日が講義なし。となっている。
そのため、特に何もなければ、毎週3連休みたいな感じになった。それは、他の3人も同じみたいだった。そして、後期は、宮町さん、斎宮さん、柊も同じ科目が多く。よく4人で集まることが、多かったのだが……今のこの2人の状況。どうなることか。4人揃うということは、乱闘寸前の状況をほぼ毎回、毎日見るようなものなので。まあ、幸いというか。宮町さんが毎回一緒にいるからいいのだが。1人で、柊と斎宮さんの相手—―と思うと。なかなか、なかなか大変そうな未来しか見えない最近だった。
「あれは、絶対浮気だ―!」
柊が居ないと、斎宮さんの愚痴の嵐でした。ほんとどうするのこれ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます