第52話 2年オリエンテーション ~09時39分発湯の山温泉行き普通~
宮町さんが襲来—―ではないか。
いや、襲来か?実家から帰って来た朝に会うとは思っていなかったが偶然もここまで来ると――ちょっと、怖いかもしれない。
まあ、結局ちょっと考えてみると「あっ、いつも通りか」と俺は納得したのだが。
1年間。あれだけ、偶然が多々あれば。もう普通と思える。同じ生活サイクルなのかな。って、感じでね。
宮町さんが帰った後は特に何もなく。1人のんびり――。
あっ。少ししてから、メッセージで「無事帰宅しました!また行くからよろしくね!」と、いう言葉と、犬が跳ねているスタンプが、宮町さんから届きました。もう、何度か言っているが、驚くことではもうないかと。ホント、普通のことになりつつあることだった。
それからは、のんびりしつつも、新学期に向けて、準備というか、片付け。と、いうのか。そんなことをしていた俺だった。
……にしても、何故か宮町さんが帰った後……室内がなんか物足りないというのか。静かというのか。変な感覚はあった。それが、なんでかは、わかるような……わからないような……と、言う感じだったが。
あっそうそう。その後の事だが。俺はそんなことを考えつつ。昨日思い出した事を、忘れないうちにやっていた。
時刻表を、持って来て机でにらめっこ。そして行先のところをちょっと調べる。ある程度まとまったら。それを発起人に連絡。こちらの方も、忘れていると……騒ぎそうな、気がするのでね。
――それから数日。
今日は、2年生になり初の大学へ。ちょっと、久しぶりの大学。午前中だけだが、在学生のためのオリエンテーション?とやらに行く。
天気は、晴れ。そういえば、この後、花見行くんだったな。と、思い出す。
前日に、4人のメッセージのところで、宮町さんが「明日、天気いいみたいだから、みんなで、お花見行かない?」と、書いたら、即、斎宮さんが反応して「行く!近くにいいところあるよ!」と、いうことらしく。すぐに、決まっていた。柊も一応、しばらくしてから、メッセージを見たようだが。その時には、すでに決まっていた。まあ、俺も加わる前に、女の子2人で決まっていましたが。女の子は早い。
朝は、今までと同じ。3両編成の電車。この路線は、今年も変わらず3両編成固定みたいです。伊勢川島駅09時39分発の湯の山温泉行き普通に乗った。もう言わなくてもいいと思うが。ちゃんと、言っておく。
宮町さん、なんで、わかるのかな。俺が電車に乗ると「ドア2つズレたかー。今日は、後ろの気分だったのかな?」と、声がした。
「おはよう。宮町さん」
「うん、おはよう。楓君。2年生なったね」
「だね。無事。オリエンテーションは、2年か微妙なんだけど、進級は、したはずだから」
「2年生でいいんじゃないか?だって、明日?かな、明後日?には、もう後輩できるよ?」
「あー、そうか。新入生入って来るんだよね」
「先輩だね。まあ、先輩って呼ばれるほど、私、友好関係は広くないけどね」
「宮町さんなら、すぐに、知れ渡ると思うけど、、、」
「それは、困るかな……今がやっぱり良いから」
と俺達が話していると――。
「おっ、お2人さん。今年もラブラブですか?」
「斎宮さん……久しぶり?だけど、いきなり何を言い出すんですかね――」
「おはよう。沙夜ちゃん」
「楓くん。海織ちゃんは、何事もないように、認めたよ?」
「はははー、宮町さん反論しておいてよ」
「てへっ?」
――うん。この顔はダメだ、遊んでいる顔だ。と、宮町さんの斎宮さんへの反論は、あきらめる。
「仲良しだなー。ホント」
斎宮さんは、なんか隣で、ニコニコしてるし。
と、菰野駅からは、斎宮さんも乗って来た。が――1人足りない。
「斎宮さん。ところで、柊は?次の電車?だと、ギリギリになると思うけど……」
「柊なら、もう留守だった」
「え?ひとつ前の電車?」
「わかんない。でも、寝てるとかではないと思うよ?朝に、昨日のメッセージの返事は来てたし。だから起きてるかと思って、さっき、ピンポーンしてきたけど、返事なかったから、まあ、遅刻は、嫌だから私1人で来たけど」
「……柊が早いのも珍しい気が――」
「だね。白塚君って、ピッタリか、ギリギリって感じだよね」
と、今気が付きました。いや、よくあると言えばよくあるのだが……。
宮町さん斎宮さんとともに、車内で、話していると……目立つんだよな。このお2人さん。どんどん綺麗に、というのか……目立つのですよ。ホント。
俺が、そんなことを思っている間も、女の子2人は隣で、楽しそうに、この後の予定。花見のことを話しています。
電車は、09時56分に湯の山温泉駅到着。そこから大学へ向かう――の前に、宮町さんは、すでに、買っていたが。俺と斎宮さんは定期券をまだ購入していなかったので、有人駅の湯の山温泉駅で定期券を購入。
幸い空いていたから、すぐに買えた。
その後、斎宮さんが、定期券を買っている間。駅前を見ていると、季節がいいからか。山の方に、行くバスも、何人か乗車していく。そういえば、1年の時は、行かなかった。こんなに近くにあるのに、と、思いつつ、山を見る。
すると、宮町さんに、つんつん。と、肩を突っつかれた。
「楓君?沙夜ちゃん終わったって、行こう?」
「あ、うん」
それから、3人で、大学へ。すると。会場の大講義室には、すでに――見覚えのある姿があった。
「柊……早いね。来るの」
「あっ、本当だ、白塚君もう居る」
「おー。楓、宮町さん。久しぶり。沙夜は、昨日会ったな」
「柊どうしたの?熱あるの?朝から、メッセージも返事来てたし」
「なかなかひどい扱い……いや、サークルのお手伝いでね。新入生勧誘のための準備」
「あー、なるほど、で、柊は、早くから居ると」
「そういうこと。昼からは、花見とか言ってたからな。かぶらなくてラッキー」
「まあ、柊いなくても、3人で、楽しんでくるけどね?ね、海織ちゃんに、楓くん」
「なんで、こんなに俺に対するあたりが厳しいのか……」
と、斎宮さん……辛口言うのか。なんというのか……仲良しなんですよね?お2人も……。
と、思っていたら、担当の事務員?の人が入ってきたため、会話終了。
それから、まあ、いろいろ。いろいろとお話がありました。
主に講義。科目の履修方法の確認やら、前期後期の流れ。まあ、2年はまだ1年の延長と考えていいのかもしれない。専門的な科目が増えた気がするが。そして、3年からは、ゼミ?ゼミナール?だっけか。それを選ぶらしく――個人的には、4年だけかと思ったら、3年4年と、あるらしい。これ、どこの大学でも同じなのだろうか?うちだけ?でもまあ、卒業論文。卒論を書かないと、多分卒業させてくれないので……3年次からいろいろ準備できるのは、ありがたいかもしれない。
そして、そのためにはまだまだ取らないといけない、単位を、2年でどれだけ取れるかか。と、1年の時のことも考え、資料とにらめっこ。
――まあそんな感じで午前中を使ったオリエンテーション。在学生バージョンとでもいうのか。それは無事終了した。
終了後すぐに柊はちょっとサークルの人が呼んでいるとかで荷物置いたまますぐに逃走した。あと宮町さんも確認したいことあるから――と、先ほどまで話をしていた事務員さんのところに向かった。
すると――。
「楓くん楓くん」
後ろに座っていた、斎宮さんが話しかけてきた。
「何?」
「おでかけの件考えてくれてありがとうね」
「あ、いや、その、春休み、自動車学校とかで、バタバタしたから、遅くなっちゃったけど」
「いいのいいの。でさ、偶然なんだけど、私こんなもの手に入れました」
と、斎宮さんは、スマホを取り出し、写真を見せてくれた。
「……どうしたの……これ」
「おばあちゃんがね、地区の行事?か、何かで、当てちゃったんだって。で、自分は使わないから、友達とどこか行っておいで、って、くれたの」
「—―えっ……?いくらあるの?結構あると思うけど――」
そのスマホの画像には、旅行会社の旅行券?ギフト券?が――数万円分ほど……写っていた。
そこで、宮町さんが戻ってきたため、斎宮さんが「また後で2人には秘密だからね」と、スマホの画面を閉じていた。
「2人が何か楽しそうに、話してるー。何の話してたの?」
まあすぐに勘のいい宮町さんに、少し俺たちは追及されたが。ちょうどいいところで「腹減ったー。花見行くんだよな?またサークルの人に、捕まる前に、行こう」と、柊が言ってきたため、講義室を後にしたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます