第42話 おせち ~08時08分の睡魔~

初日の出を見た後。さすがに、眠い。

が、お隣の2人は――まだ、元気。眠くないのかな?この2人。大楠のところから、駅まで歩いている間も、ずっと、話していた2人。おせち食べないとやら。の声も聞こえたから。帰ったら、おせち食べるのかな。とか、思いつつ、俺も、付いて行く。


長太ノなごのうら駅。08時08分発の名古屋行き普通に乗り戻る。楠駅は10分着。なのだが。たった2分だが、座席に、座れたのもあるからか。睡魔が――電車の中は、ちょうど良い温度。

うとうと……まあ、すぐに降りるから寝る。ということはなかったが――眠い時の、このちょうど良い暖かさのある座席は、危険だった。

今のような状況。寝てない中で、座っていると、そのまま寝て、乗り過ごしてください。と、電車に言われているような感じ。


そんな、気持ちのいい電車から降りて、また宮町さんのお宅訪問となった。


「帰って来たー。新年から、なんやかんやで、歩いたね」

「うん。あっ、暖房入れるね」

「じゃ、ちょっと、眠いけど。歩いたから――おせち食べたい。って、身体が言っているから、おせち食べようよ!」


それから、部屋が暖まってきた頃。宮町さんが、昨日から冷蔵庫で解凍していた、おせちを出してくれた。


「おお、何度見ても、すごい。海織ちゃん食べる許可を!」

「うん、食べよっか」


そこから、3人でおせちの突っつきあいというのか。食べたいのを、各自小皿にとっていく。ちょうどいい感じに、エビ。有頭海老っていうんだっけ?や、栗きんとんは3人分あったのだが。伊達巻や、昆布巻き、肉巻きかな?は2つだったので――。


「じゃんけんポン!—―負けたー。なんで、2人は、じゃんけん。そんなに強いのー」

「いや、斎宮さんだよね。じゃんけんで、勝った人から、食べたいものを、取って行こう。って」

「そうだけどー……楓くん。栗きんとん、残してくれるよね?」

「……なにその、圧力」

「……食べたい」

「—―じゃ、昆布もらいます」

「楓くんは優しい!うん。ポイント高いよー」

「テリーヌかな?私、これも、結構好きだなー」

「あ、私も私も」


と、主に、斎宮さんが、どれも食べたいオーラ出しつつ。3人で突っつきあったら、あっという間に、おせちの中身は、空っぽに。いや、めっちゃ早かった。


「ごちそうさまー。食べたー。美味しかった」

「綺麗に、無くなったね」

「海織ちゃんのおかげで、2種類も、おせち食べれましたー」

「それ言うなら、楓君と、私も、沙夜ちゃん所のおせちも食べれたから、2種類だよね」

「確かに、斎宮さんところの、おばあちゃんに、お礼伝えといてもらわないとね」

「楓くんなら、いつ来ても。おじいちゃんおばあちゃん歓迎するよ?おじいちゃんなんて、いい話し相手だったとか、言ってたし」

「あはは……あの時、結構捕まってたからね」

「うんうん。また、おいでよ。今度は、海織ちゃんと一緒に」

「あ、それいいね。お礼も言えるし。楓くん行こうね」

「あ、はい」


そのあと、おせちは、綺麗に解体された。今のは、食べた後も楽に捨てれるようになっていた。便利。そして、冷凍おせちとやら、美味しかったです。

それからは、やっと、ゆっくり。というか――。


「海織ちゃん――食べたら眠くなった……」


と、斎宮さんが言いだし。ソファーに、座っていた斎宮さん、お隣に座っていた宮町さんに、倒れていく――。


「一回休もうか。さすがに、私も、眠くなってきたから」

「どうぞ、お2人は、寝室へ」

「えー、楓くんも、寝れると思うよ?」

「いやいやいやいや、大丈夫です。ソファーで、十分です。っか。一応、寝袋抱いてきたから」

「私は、楓くんと、寝転がるの賛成!」

「斎宮さん?」

「ほらほら、ちょっと、休憩休憩」

「なんで、引っ張る?」

「眠いからかな」

「じゃ、お2人で」

「まあまあ、楓くんほらほらー」


と、なぜか、女の子2人に連行されていきました。というか、宮町さんところの寝室。何気に、ダブルベット?と、デカかったです。前に、ちらっと聞いた気がするが。親戚の人が使っていたのを、そのままとか。ベットもそのままなんだろう。でも、3人も居たら……狭くない?ほんと、ねえ。


結果として、早々に、ベットにダイブした、斎宮さんが速攻就寝。ちょっと、笑えるくらいに早かった。


「沙夜ちゃん……眠かったんだね」

「まあ、寝てないから……じゃ、俺、リビングの方で」

「え、いいよ?詰めたら、寝れるから」

「いや、大丈夫。ホント、寝袋持ってきたから」

「あー、だから、楓君のカバン大きかったのかー。なるほど、何持ってきたのかな?って、思ってたんだよ」

「いや、まあ、いろいろ想定しまして……」

「でも、前に、私が泊まった時、寝袋なんか持ってた?」

「そのあと、買いました。はい。非常用として」

「あ。それは、また、私が遊びに、行っていいと」

「いや――まあ、その……非常用」

「うんうん。でも、いいの?ベットじゃなくて」

「大丈夫大丈夫。とりあえず、休もう。眠い」

「だね。じゃ、あ、飲み物とかは、勝手に、飲んでいいからね。おやすみ」


と、俺は無事リビングで1人寝る。ということになりました。いや、女の子2人。との空間は、絶対寝れない……いや、今の雰囲気なら、斎宮さんみたいに、速攻寝れたかもだが。うん。これでいい。


リビングに、戻ってから。コンパクトに、なっていた寝袋解放。説明書通り。ちゃんと、いい大きさになった。安いからどうかと思ったが――そこそこ良いものでした。


新年初寝。と、でもいうのか。

3人が寝たのは、元旦午前11時前くらい。

12時間くらい普段と寝る時間がずれたが……4日か5日にはすぐ大学再開するのだが――うん。大丈夫だろうか。と思いつつ俺、寝袋に入った瞬間くらいから、記憶はありません。はい。即夢の中です。


――――。


……何時間くらい経ったのだろうか。

周りは静か。まだ、外は明るい時間のよう……うん?


「……あ、お、おはよう」


訂正。目開けたら、宮町さんの姿がありました。スマホ抱いている。


「……おはよう?って、あれ?どうして宮町さんが――」


起き上がると、まあ、場所は変わってない。宮町さんところの、リビングの隅っこ。斎宮さんの姿はなし。で、気になるのは――。


「宮町さん、なんか写真撮った?」

「な――何のことかなー……」

「いや、スマホ持って、寝てる人の隣にいるって、それくらいしか浮かばなかったから」

「な、なんでもないよ、そう、うん。起きて、楓君大丈夫かな?って見に来ただけだよ」

「……まあ、いいけど、ばらまかないでよ。変な寝顔を」

「えー、かわいい寝顔だったよ――?あ、撮ってないからね」

「……ところで、今何時?」

「夕方だね。16時くらい」

「……あ、ごめん。そろそろ帰らないと、邪魔になるよね。っか、帰って寝ればよかったのか」

「え、帰るの?まだ、ゆっくりしていいよ?沙夜ちゃん爆睡だし」

「いや、まあ、でも、長居は――」

「いいって、お正月だし、ゆっくりしてってよ。言ってなかったけど、晩御飯は、すき焼きだよ?お肉は、ママが、お肉送ってくれて、凍らせてあるんだけど……いいお肉だよ?」


お肉、うん。お肉という言葉は――。


「—―お肉に負けそう」

「ほらほら、ゆっくりね」


お肉に、負けました。っか、ちょっと見せてもらったら、有名なお高いお肉……マジか。お正月リッチになりすぎているが。大丈夫だろうか。宮町家すごい。


それから、宮町さんは、すき焼きの準備するというので、手伝いでもしようかと思ったら。


「お客さんは、ゆっくりしてください。あ、お風呂も、入れますよ?」


と、手伝いという選択肢はなく。まあ、なんか、さっぱりしたかったのもあり。お風呂を、また借りました。


大晦日からが――とても、とても、長いです。はい。

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