第41話 再度訪問 ~06時04分発新年初列車~

新年早々、真っ暗の中。長太の大楠を、見に行っていた3名。もちろんなのだが、行ったら、帰りもある。また、30分ほどかけて、話しながら、帰宅。そして、ゆっくりとそのあとは、休みませんでした……元気だ。ホント、このお2人さん。


「ふー、温かーい」

「温まるね」

「うん。にしても、新年からいいもの見れた―、海織ちゃんところに、来てよかったよ」

「喜んでくれたみたいで、よかった。楓君も、どうだった?」

「うん。夜だったけど、大楠を間近で、見れたのは良かったかな。まあ、明るい時間の大楠も、見たいけど」

「確かにね。また、違った感じに、見えるよね」


宮町さん宅に、帰ってきてから、しばらく、3人ホットココアのみ休息。宮町さんところいろいろ出てくる。準備いいな。ほんと。

斎宮さんは、何か、スマホでポチポチとしていた。そういえば、新年に、なったから、誰かから、メッセージでも来てるかな。とか、思う人も、いるかもしれないが。俺は、今まで、特にそのようなことはない。だから、今年もないだろう。と、思っていたのだが。


「あっ、柊からか……」

「うん?白塚君?」

「うん、あけおめー。だって、家族と行列の中だって、柊は」

「初詣かな?」

「あー。私にも、来てた」

「あれ?斎宮さん、メッセージの返事してるのかと思ったけど、違ったんだ」

「あ、うん。ちょっとね、大楠のこと調べてた」

「どうして、何か気になることあった?」

「いやね、すごいね。ネットで調べたら、いろいろな、大楠の画像載ってて」


斎宮さんが、スマホの画面を、こちらに。そこには、夕焼けや、青空の中の、長太の大楠の画像が出ていた。いろいろな画像が、ネット上には、出ているようだ。


「あ、きれいだね」

すると、隣に、宮町さんも来て、スマホの画面をのぞき込む。宮町さん。近い近い。

「でしょ、でしょ。こういう写真撮ってみたいなー。メッセージとかの待ち受けにした」

「あ、いいね。暗かったから、さっきは、写真は撮らなかったけど」

「でしょ、日の出とかもすごくきれい」

「うわー、すごい。あっ、満月と。って、のも出てるね」


――なんだろう。俺の勘が何かを言っている。この流れは、やばいぞと。早急に手を打つ必要があると。言っている気がする。すごく警鐘を鳴らされている気がするんだが……。


「そうだ!もう1回、日の出の時行こうよ。近いんだし」

「あ、いいね。行こうか」

「へ?」

「だって、きれいじゃん、これ見たら、近くなら行かないとー。ね、楓くん」

「そうだよ。せっかく天気も良いって言っていたはずだから。楓君も、明るい時も、見たいって言ってたよね?」

「……あ……はい。そうですが……」

「じゃ、日の出って何時だろ?」

「確かね、7時くらいじゃなかったかな?ちょっと調べてみるよ」


と、宮町さんがテキパキと調べている。早い。こういう時のこの2人。いつも以上に行動が早い。俺、何も言えなかった。


「7時みたいだよ。それまでに、行って待機していたら。良い感じの写真、撮れるかもね」

「よーし。じゃ、準備!。の前に、まず、お風呂入りたいなー」

「あ、だね。準備するよ。寒いからお湯浸かりたいもんね」

「海織ちゃんのところのお風呂。広いからいいよねー。私のところだと、シャワーに、なっちゃうから」

「えー、ちょっと、広いだけだよ?」

「何を、いいお部屋にいるのに」


どんどん、2人のテンションは、上がっているように思えます。夜中なんだけどなー。2人とも夜行性の方……なんだろうか。ちなみに、時間は、深夜3時くらいなんだけど……。

あ、これがさっき感じたことか。と、俺が、思っている間にも、お隣2人の話は盛り上がっていく。


俺、この後、どうなるんだろうな。と、思いつつ。先ほど見た、柊のメッセージに返事をしておいた。


「あけましておめでとう。今年もよろしく。そして柊今年もみんな元気だよ……ホント」


と、柊のメッセージに、返事をしておいたが――。

すぐには、柊からの返事はなかった。

柊はの方は初詣の行列に巻き込まれているのだろうか。すると――。


「じゃ、お風呂もらいまーす」


お風呂の準備ができたようで、まず斎宮さんが入っていった。


「沙夜ちゃん、楽しそうだね」

「宮町さんも、かなり楽しそうだよ?」

「そうかな?こういう体験初めてだからかな。楓君は?」

「貴重な体験してるよ。ほんと。いろいろな意味で」

「そう?なら、よかった。あ、飲み物追加しようか?」

「あ、ありがとう」


しばらくして、斎宮さんが、出てくると、そのあとは、宮町さんが入っていった。

寝るという選択肢は、ない様子の服装の斎宮さん。俺も、持ってきた明日用の着替え準備しておくか。と、思っていると、斎宮さんが声をかけてきた。


「海織ちゃん、楽しそうだよね」

「斎宮さんのテンションも高いよね。そして、同じようなこと、宮町さんも言ってた」

「私は、いつも通りだよ?」

「……あ、確かに」

「でしょ。にしても、楓くんは、幸せだね。ホント」

「え?」

「だって、さ、新年から、かわいい女の子に、囲まれて」

「はははー。連行されただけだよ」

「でも、楽しいでしょ?」

「……まあ」

「素直は、良いことだよ。うんうん」


斎宮さんに、ニヤニヤと見られつつ。宮町さんが出てくるのを待った。

って、女の子の後に俺でいいのだろうか……って、俺が、先よりいいのか……などと、思っていると。宮町さんも、出てきた。

そういえば、女の子の2人の風呂上りというレア光景のはずなんだが……慣れてきた。ではないが。レアでは、なくなりつつあるような……俺よく巻き込まれているから?うーん。でも、レアだな。うん。落ち着かないから。うん。


「楓君、お待たせ。温まってきてね」

「女の子2人の後だからねー」

「斎宮さん、ニヤニヤやめようね」

「えー、貴重だよ?貴重」

「ははは……さっと、行ってきます」

「えっ、楓君、ゆっくりでいいからね?」


なんか、斎宮さんに遊ばれつつ?風呂へ。宮町さんところのお風呂、確かに広い。足を、伸ばせるほどの広さはないが。それでも、俺のところのアパートより広い。入浴剤が入っているみたいで、いい香りがしている。


まあ、長風呂すると、斎宮さんにまた何か言われそうなので、身体など洗い。適度に、温まったら、部屋へと戻った。


3人が、1人ずつ風呂に入ると、それなりに、時間はかかった。が、斎宮さん、宮町さんともに、眠さはないのか、俺が風呂から出てくると、スマホいじりつつ、楽しそうに、何か話をしていたしていた。


「あ、おかえり」

「早かったね楓くん。レアなお風呂満喫できたの?」

「温まりましたので……」

「あはは、楓くんらしいというか。柊なら、出てこないかもね」

「いや――それは……どうだろう」

「出てこないに、賭けるよ。私は」


部屋には、楽しそうな、斎宮さんの声が、響いた。ご近所さん、響いていたらすみません。本人抑えているみたいですが――。

それから、大楠のところで、初日の出ということで、その時間なら、普通に、電車が走っているので、1区間だが、電車移動を選択。いやね。往復1時間以上を2回はね。スマホで時間を調べると、楠駅。06時04分の電車が、ちょうど、よさそうということで、その電車に乗れるように、準備と、仮眠。という選択肢は、2人にはない様子で。2人ともしっかりと、いろいろ準備してました。

服着て貴重品持って終わりの男子とは違うので……俺、しばらく待機。寝そうになりました。


そして――朝6時。

楠駅に3人はいた。もちろん眠い。のだが、隣の二人、元気なんだよな。

それから、今年初の電車移動。楠駅06時04分発の普通。伊勢中川行きに乗って2分。長太ノなごのうら駅に、06時06分着。あっという間。歩いたら、数十分かかる距離も、電車ならあっという間の移動。便利だ。まあ、ここから、また、少し歩くのだが。


「あ、カメラマンみたいな人いるね。私も紛れ込んでこないと」

「ほんとだ。みんないい写真撮りたいんだね」

「予報では、天気も良いみたいだからね。晴れてよー。せっかく来たんだから」


まさか、6時間くらいの間に2回も、長太の大楠に、来ることになるとは。でも、明るくなってきて見る大楠は、とてもよかった。夜の神秘的とは、また何かが違う神秘的。少しずつ周りが、明るくなるにつれて、ちゃんと見えてくる大楠の姿。その1つ1つというのか。刻々と変わる姿を見せていた。

斎宮さんと、宮町さんは、いいポジション探す。と、子供のように、朝から、わたわたしています。すこし、離れたところに、良いところを、見つけたらしく。3人で、待機。そして、雲のない快晴のまま7時を迎えて――。


「あ、来た来た。太陽出てきた」

「うわー、すごい。久しぶりに、初日の出。ちゃんと見たかも」

「あ、確かに、ちゃんと見るのは久しぶりか。太陽が出てくるところからは……最近見てなかったな」

「私もー。きれいじゃん。これ……おお」


隣では、斎宮さんのスマホから連写の音。

宮町さんは、静かだな。と思っていたら、後から「沙夜ちゃんが、写真撮るって言ってたから、私は、動画撮ってみてた」と。あとから聞きました。ちなみに、俺もせっかくなので、何枚か撮影した。


にしても、太陽の当たりだした大楠。とても綺麗だった。こういうのを、生命力を感じる。とかいうのかな。と、思いつつ。2人と、同じように、撮影の後は、ぼーっと、初日の出と、大楠を眺めていた。

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