第14話 友人との外出 ~11時28分発の急行~

斎宮さんの出席問題のバタバタからしばらく。

少し暑くって来た。いや、訂正。結構もう暑い気がするそんなある休日。

今年も記録的な暑さになるのだろうか。と、テレビの天気予報を見ている午前中に、柊から連絡があった。


「楓―。たまにはどっかいかないか?」


そんなメッセージが来た。

まず珍しいなというのが感想。

普段、斎宮さんとよくいる柊。休みとかもサークル以外はよくいるとかこの前も言ってたが。

まあ、その居ない日にあたったから斎宮さんに土曜日の大学に連行されたのだが……。

今日は斎宮さんの方がいないのだろうか。まあ、それぞれの生活があるからいないこともあるか。


ちなみに、柊と2人でどこか。というのはなかったことはない。

大学帰りにご飯とか。ちょっと出かけるは何回かあったが。

朝からこうやって連絡してくるのは初めてかと思う。


「じゃ、11時07分。菰野の電車乗るから」

「了解」


返事をして1時間後の出発の準備をした。

菰野07分ということは、川島は16分。

それを確認してから準備。


まあ、普段からおしゃれやらは興味ないので、さっと準備するくらいだが。

ぼっち基本予定は空いてます。

だから連行されたりがおおいのか。

いや、最近ぼっちではない気がするが……。


11時16分。電車乗車。今日もいつもと同じ赤と白の3両編成。これは変わらない。

で、一番前にいると連絡が来ていたので向かうと。

いつものイケメンさんがドア付近に立っていた。


「お、悪いな。急で」

「おはよ。まあ、予定なかったから。で、どこへいくと?」

「名古屋だな」

「……名古屋?」

「そう、主に楓のための買い物だな」

「えっ?いや……えっ?買い物なんてないんだが……」


記憶を思い返しても、柊に買い物があるとは言ったことなし。


「楓忘れてるだろ?」

「うん?」

「沙夜が言ってたじゃないか。誕生日会したいとか」

「……あー。そういえばなんか。誕生日の話前にしたような……」

「で、6月が宮町さんだろ?確か……11日?とか沙夜が言ってたかな?で、沙夜から。楓くん絶対プレゼントとか考えてもなさそうだから。柊。手伝ってきてあげて。と言われたんだが」

「なんか。すみません……なのか。っか、そうか。もうすぐか」

「いつも一緒なんだから覚えてるかと思ったんだがな」

「いやいや、あの時さらっと話してただけだし」

「まあ、いいや。この前沙夜がお世話になったからな。俺がレクチャーしてやるぞ」

「……ちなみに、柊は斎宮さんにプレゼントしたことは?」

「あいつ2月だから。まだこれといって、イベントないから何も渡したことないんだよなー。だから楓で参考にする」

「おかしい。なんかおかしいぞ。レクチャーどこ行った?」


話している間に、11時25分四日市に到着。

そして、階段降りて隣のホームへ。

すぐに入ってきた11時28分発の名古屋行きの急行に乗る。

名古屋線の急行は日中はほとんど6両編成。赤と白は同じだが、久しぶりに見ると長く感じた。

休日だからか。それなりに人は乗っている。

っか、名古屋行くの大学に来てからは初めてか。


「そういえば、なんで名古屋なんだ?もう乗ってるけど」

「いや、なんかいろいろ見れるなら名古屋かと思って」

「なるほど、でもプレゼントか。何がいいんだろう……日頃の感謝はしないとだが」

「そ、で。楓が選んだものを参考に俺はする。あ、あと、ちょっと俺自分の買い物もするからよろしく」

「なんか、とりあえず、わからんということはわかった」


男2人のお買い物。

どうなることやら。不安しかないのだが。


それから、揺られること40分ほどか。

12時04分。名古屋駅に到着。知ってはいるが朝の大学前とは比べ物にならない人の多さ。

大学の朝はまだまだかわいいというのがよくわかる。

人の波にのまれながら、改札出て


「楓。とりあえず、昼食わないか?腹減った……」

「そうだな。ちょうど昼だからどこ行く?」


と、いう柊の意見に乗り。2人で名古屋といえば……を考える。

ちなみに、柊は実家が岐阜なので前から名古屋よく来るとのこと。

道案内はまかせた。のだが。


「どこにあったっけ」


と、すぐに言われ、結局、2人してスマホ見ながら、お店を探してから移動した。


数十分後。駅前の建物内にあるところで、味噌煮込みうどんを食べる2人。

休日ということもあり。順番待ちを少ししていたが思ったより早く呼んでもらえた。


「俺、久しぶりだわ。楓、味噌煮込み好きなのか?」

「いや、なんか名古屋って聞いたら、なんか浮かんだから」

「意外と楓グルメ詳しい?」

「それはないな」


2人とも定食。ご飯と漬物が付いているものを頼んだ。

この硬さというか、麺を噛んでみると、中心が白いというのか。この硬さがいい。スーパーとかで売っているので作ることもあるが、これが再現できないんだよな。そして、味噌。この味。ご飯が進むのは俺だけだろうか。多分汁を飲むほど、あとで喉が乾くんだろうな。と、わかりつつもいつも飲みたくなる味。

あと、この漬物めっちゃうまい。

本当はかしわとかいろいろな種類があるが。お値段が張るので……でもご飯は外せなかった。美味しいから。


昼食後、男2人。店をまわる。

さすが、いろいろなものが売っている。

大学近辺では買えないであろう物たくさん。

今はネット通販もあるがやはり実物見るのは大切だなと。


「で、楓。何買うんだ?」

「—―いや、全く決まってない」


女の子へのプレゼントとかしたことないので、

移動しながらもぶらぶら見ていたが――全く浮かんでいなかった。


「宮町さんって何が好きとか知ってる?」

「……なんだろう」


入学してからかなり一緒に行動はあった気がするが……浮かんできた言葉は――。


「なんだろう」

「おいおい。楓よ。超仲良しだろ?」

「いや、なんというかよく一緒になるだけというか」

「周りから見れば……なんだが」

「なんだよ」

「いやいやこっちの話。で、どうするか」

雑貨の店があり入ってみる。

「っか、誕生日会?するってことは柊も宮町さんに、なんか渡すんだろ?」

「俺、沙夜に、共同でって頼んだ」

「……俺もそれに乗っていいのでは?」

「いや、楓はダメだろ」


と、いうのでそれからしばらくぶらぶら。

途中柊は自分の買い物するやらで結構寄り道していたが。

これ、柊の買い物に付き合っているみたいな感じなんですが……。


今も柊が店に入り何か見ているので、俺は近くの店をぶらぶらしていた。

すると、店の入り口に飾られている手のひらサイズ?よりちょっと大きめのクマのぬいぐるみがクッキー?お菓子の袋抱いているぬいぐるみがあった。

ちょっと見てみるとなかなか良い手触りのクマだった。


「ぬいぐるみだけよりお菓子ついてるのとかがいいか。宮町さんぬいぐるみとか好き……かな?」


店の前で考えていると。定員さんに捕まった。

何かお探しで?という風に聞かれたので、まあ、せっかくだしで、友達のプレゼントを。あ、女性です。と、言ったら。やはりなのか入り口にいたぬいぐるみを進められた。値段も安くも高くもないくらい。

まあ、入学からいろいろお世話になっているので……。


「これ、ギフト用?みたいなのに、してもらっていいですか?」


購入することに。悩んだところで、ほいほいと他が見つかるとは思わなかったので。

すこしして、かわいくラッピングされていた。商品受け取り店を出ると。


「お、楓いたいた。いないからどこ行ったんだ?ってメールするところだったわ」

「あー、ごめんごめん、この店で買い物してた」

「うん?お、決まったか?何買った?何買ったんだ?」


寄ってくる柊に入り口の前にいるやつ。と、説明。


っかさ、柊なんでそんなに紙袋持っているんだ?

とは、聞かなかったが。確かに買い物するとは言っていたが。


何買ったんだろうか。なんか荷物持ちしてるみたいな感じだが。

柊は買い物好きな方なんだろうか?


なお、その後もまだ2店舗くらい見ていた。


結局帰って来たのは夜だった。

部屋の棚のところには本日の購入品が。

当日までしばらくそこで待機してもらうことに。


ちなみに、柊が購入していたのは、本当に自分用のものだったらしい。

後日聞いた。本人ではなく斎宮さんに、たまたまその話したら。


「柊、普段は買い物あまり行かないんだけど、行くとき馬鹿みたいに。あ、これいいな。これ欲しかったんだ。言いながらどんどん買って、あとで、お金使いすぎたー。言ってる。で、たまに、私は、その中から、私が使えそうなのもらうんだー」


あれ?柊これはこれで斎宮さんへのプレゼントへなってないか?と、思ったが、本人は飲み物買いに行って不在のため言えなかったが。

ちなみに隣では、


「ねえねえ。なの話?買い物?」

「うん、ちょっとね。この前柊と買い物行って」

「いいなー。私も呼んでよー」


サプライズらしく。このことはあまり言えないので、宮町さんが仲間外れみたいになっていたが。大丈夫だろうか。

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