第15話 集合 ~17時35分到着予定~

その日、俺はなかなかバタバタとした生活をしていた。

いや前日からか……もう少し前からかもしれない。


朝から大学へ行く。これは、いつもの流れだが。

大学終わってからがバタバタだった。


「じゃ楓君あとで行くね」

「う、うん。ゆっくりでいいからね」

「うーん。本当は手伝いたいんだけど、沙夜ちゃんにダメ言われてるしな」

「まあ、そうなるよね。宮町さんの誕生日だし」

「私的には一緒に準備とかも好きだよ?わいわいみんなで準備してー。とかも」


帰りの電車内での宮町さんとの会話。

本日は、斎宮さんが発起人の、宮町さん誕生日会。なのだが。


どっかの誰かさんが、場所どうするのか考えている時に、

どっかのお店とかかなー。と、思っていたら。


「俺だけ楓の家行ってないじゃん。じゃ会場は、楓の家な」


とか言い出したおかげで、俺、部屋の大掃除だよ。ほんと。

ちなみにまだバタバタの原因はあり。そのあとに斎宮さんから……。


「じゃ、私ケーキ買ってから行くから、楓くんはなにかご飯作ってー」

「マジですか」

「マジマジー。楽しみにしとくね。海織ちゃんから楓くんは料理する子と聞いてますから」

「うわさが広がっている……」

「じゃ、俺は沙夜と一緒にケーキ見てくるわ。荷物持ちいるかもだし。あ、飲み物とかも買ってくよ」


どっかの誰かさん。楽しそうに斎宮さん側に。

それから、川島駅到着。宮町さんは家に帰るため一度別れる。

そこからが俺は、なかなか大変、数日前まで何作ればいいんだよ。と思っていたのだが。

たまたま、テレビでしていたのを参考にさせてもらうことに。

が、食材を買いに行かないといけない。駅から家直通ではなく。

スーパーに寄ってから帰宅。事前にいるものメモしておいてよかった。


部屋はすでに物をどけている。机は大きくないんだが……まあ仕方ないと。荷物とかだけ隅に寄せた。


そして、帰宅と同時に準備開始。

お米は準備しておいたので、炊けている。酢飯を準備する。今は素?というのか簡単に作れるのが売っているので大変助かった。

本当は飯台だったか。桶があればと思っていたのだが、そんなもの家になかったのでダメもとで安いのないかと、昨日の帰り100均見に行ったら、それなりのがあったので、前日に購入しておいた。


買ってきたものを次々出しては切る。

生ものは切ったら冷蔵庫。

缶詰開け、皿に出して冷蔵庫。

あ、海苔も切っとくか。と、いろいろして、なかなかバタバタとした感じだったが、今のところ順調。


酢飯の時点でわかるかもしれないが、手巻き寿司の準備をしている。

ほんと、何作れというんだと思っていたが。テレビで見てビビッと。

切るだけ。酢飯作るだけ。いいじゃんと。


ちなみに資金は全員で出し合っている。宮町さんも出すと聞かなかったので、じゃ、全員でと。ちなみに多分……店行くのよりは、安く済ませているのではないだろうか。

あ、出し合っている言っても事前には値段がわからないので、食材は俺。ケーキは斎宮さんが一度払い。それを後で合計し。4人で割るという感じで話し合っている。


バタバタしていたが何とか終わった。

時間は17時15分を過ぎたところだった。


3人は予定では、17時35分に着く電車で来るらしい。

偶然なのか上り下りとも同時刻に着くとのことで急いでいた。

みんなが来てから、バタバタは嫌だったので。


ちょうどその時


♪♪


「今、沙夜ちゃんたちと合流したから向かうね」


メッセージが来たので、俺はスタンプで返しておいた。そして数分後—―。


「お、楓らしい部屋。あ、飲み物とか置いとくぞ」

「どういう部屋だよ。あ、うん、適当に置いといて、狭いから」

「少しぶり―。ケーキ買ってきたよ」

「お邪魔します。楓君」


かなりにぎやかになりました。

近所迷惑にならないように注意しないとと、まず柊に警告しておいた。


「で、楓よ。料理何にした?あえて聞かなかったが」


それから、柊が聞いてきたので


「手巻き寿司」

「……マジ?魚?」

「魚。ほら」

と、見せる。

「おー。美味そう。寿司は予想してなかったな。カレーとかかな?って沙夜とは言ってたんだが。とにかく、よし食うか」

すると、柊の横から。

「お寿司―。楓くんいいチョイスじゃん。食べよー食べよー」

「机狭いから上手に使ってくれれば……」

「大丈夫大丈夫」

「ちょ、柊。私がネタ先に選ぶんだよー」

「そこは宮町さんだろ、先に選ぶのは」


言いながら。柊と斎宮さんが運んでくれた。

狭い部屋に4人。なかなかなレアな光景。


「楓君ごめんね。いろいろ準備してもらって。大変だったでしょ?」

「いや、切るだけとかだから。宮町さんの誕生日だし」

「大学生で誕生日祝ってもらうとはね。思ってなかったよ」

「斎宮さんがそういうの好きそうだよね」

「うん。イベントとか好きそうだね」



なぜか、すでに、2人食べるつもりか具材巻きだしていたので、

宮町さんとともにあわてて参戦。一部ネタ数が少ないんだから。

あーだ。こーだ。と、楽しみながら各々が寿司巻いては食べる。話す。と。

1時間くらいしただろうか。

びっくりするくらい綺麗に寿司ネタはなくなりました。


「美味しかった」

「みんなでワイワイしながらっていいよねー」

「うんうん。私の時も盛大にお願いしないと」

「もちろん」

女の子2人が話している横で。

「で、なんで、男子2人片付け担当だよ」

「柊が斎宮さんとのじゃんけんで負けたから」

「そうだけどさー」

「あ、ごみは袋で大丈夫、捨てとくから」

「悪いなー。ごみだけ置いてって」


まず手巻き寿司で使っていたものの片付けをしていた。

すると、斎宮さん登場。


「片付けご苦労。じゃ、ケーキ持ってくねー」

「あ、沙夜、先に食うなよ」

「大丈夫、大丈夫―多分」

「おい」


ホントにぎやかだ。

それから片付け終えた男子2名も復帰。


「美味しそう。って沙夜ちゃん……ちょっと4人では大きくない?」

「これくらい余裕だよ。あ。柊か楓くん写真撮って」


斎宮さんと柊が買ってきたのはミルクレープ?いうのだっけか?のホールケーキだった。ちゃんと上には誕生日のプレートがつけられていた。

なお、今は、柊がスマホで写真撮影中。女の子こういうの好きだよね。大学でも何かと写真撮っている人を良く見る気がする。俺はどちらかというと写真を撮られるのは苦手。


さすがにろうそくはいいよ。と、宮町さんが隣で言うので。

撮影会終わると、斎宮さんがケーキ切り分ける。切ると層になっているのがよくわかる。いや、これ美味しそう。っか、これ8等分くらいでもいい気がしたが……斎宮さん四等分でプレートを宮町さんのところへと。

斎宮さん曰く。ここのケーキは甘すぎないからぺろりといけるらしい。


そして、お寿司の時はなんかフライングが2人いたため。

ケーキを食べる際に、


「海織ちゃん改めまして、お誕生日おめでとー」

「あーそういや言ってなかった。おめでとう」

「おめでとう」


斎宮さんに続いて、柊と俺も言う。なんかこういうの久しぶりというか。したことあったかな。する人は毎年こういうのしているのだろうか。


「ありがとう。3人とも、いやー、なんか恥ずかしいねこれ」

「ほらほら食べてみて、ここの間違いないから」


女の子2人楽しそうです。

ケーキは、斎宮さんの言う通り。食べやすく結局4人ともぺろりと食べましたとさ。

いや、甘いものは別腹というのか。本当にそうだった。


「あ、そうそう、海織ちゃんこれプレゼントー」

「え、ありがとう……あ、かわいい」

「でしょ、これ私のお気に入りのポーチの色違い」

「ありがとう。早速使うね」

2人が話していると。

「それ、俺からのも入ってるから」

「え、入ってないよ?」

「なんで!?頼んだよな沙夜がこの前買いに行くときに」

「だってお金もらってないもん」

「あー」

柊が言っている隣で、そうそう、ずっと棚にいたんだと。

「宮町さん。気に入るかはわからないけど、これ」

「え。楓君も?うれしい。開けてもいいかな?」

「どうぞ」


宮町さんが開ける横で斎宮さんものぞいている。


「おお」

「これもかわいい。え?楓君が選んだの?」

「まあ、一応、柊と買い物行ったときに、店員さんのサポート付きで」

「手触りいいー。このクマさん。柊。私にもこれ買って!」

「うわー。ふわふわ。大事にするね」


女の子2人にびっくりするほど好評でした。

よかった。と、一番ホッとした時でした。ほんと。


ちなみに、斎宮さん頼みが失敗した柊は、後日大学でお昼おごってましたとさ。


なかなかバタバタもあったが。

それなりに楽しい誕生日の人なったみたいで良かった。


今の俺はとにかく――だらけたい。

普段しないことはやると疲れる。うん。間違いない……結構楽しかったがね。

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