第 1 話 第二ユニバース:殺害(1) 1983年7月18日(月)

 第13章のメグミと明彦の痴話喧嘩(これはこれで閉鎖空間における性の問題として心理的に重要な命題だが)、第14章の第三ユニバースから第一ユニバースへの森絵美の降臨、第15章の島津洋子の記憶転移を一旦すっ飛ばす。第二ユニバースのお話を挿入しよう。


 第二ユニバースは、現在まで第三ユニバースの干渉を受けていない、オリジナルの世界の話となる。森絵美の殺害から話をしなければいけない。なぜなら、干渉を受けていない第二では、森絵美は、この多元並行宇宙を操る『オメガ』の中枢に偶然にも肉薄していたからだ。むろん、第一ユニバース、第三ユニバースの宮部明彦や加藤恵美が具体的なオメガの実態を知るよしもなかった。では。


第 16 章 第二ユニバース:殺害(1)

1983年7月18日(月)


「だけど、絵美もよりにもよって、何を僕に伝えたのか、忘れちゃっているんだから」

「だから、来年度というのと、授業が始まるのが9月、というので混同したのよ、私」

「今年の2月にキミから『来年』と聞いて、しばらく84年かぁ~と思い込んでいたよ、まったく。だから、しばらく話が食い違っていたんだね」

「明彦が悠長に年末の話をするから、あれ?と思っていたのよ」

「僕だって、アメリカの新学期が9月からだってことをすっかり忘れていた」

「私のミスね。来年、というのと、来年度を言い間違えたんだから・・・」

「まあ、3月にわかったから慌てたよ。残り数ヶ月なんだからね。もういまや、2週間だ」

「アパートメントの手配などがあるから、先に行ってないといけないの」

「本当に行っちゃうんだなあ・・・」

「あら?期間は2年だし、来年の夏には帰ってくるわよ、夏休みで」

「やれやれ・・・」

「あんまり、お茶目しないで待っているのよ、明彦」

「ハイハイ」


A piece of rum raisin

目次ー小説一覧

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