第12打:血まみれのサム

 地元駅下車。改札を抜け、外に出た。帰路の途中、弁当屋に寄り、おにぎり弁当を買った。その後、スーパーに足を進め、酒と酒肴を買った。帰宅後、屋根裏部屋に上がり、日課(腕立て伏せ)をやった。浴室に行き、温水を浴びた。


 居室に行き、晩酌兼夕食を始めた。氷の中に沈めておいた缶入りハイボールを取り出し、封を切った。呑みつつ、先週録音した『帰り来るもの』を聴いた。

 妻に裏切られた男と夫に裏切られた女が、同じ車に乗って、裏切り者たちを追いかける話である。純然たる虚構ではあるが、現実の世界でも起こり得るのではないか…という気分にさせられた。車内を舞台代わりにした二人芝居の趣きで、相当楽しめた。


 食後、テーブルの上を片づけた。洗面所に行き、歯を磨いた。居室に戻り、円盤(DVD)再生機を起動させた。ジェームズ・カーン主演の『キラー・エリート』の後半を観る。1975年に公開されたもの。

 現代アメリカに忍者が登場する珍妙アクション。バイオレンスの巨匠、サム・ペキンパーがこのような映画を撮っていたとは意外であった。まさに「愛すべきダサク」である。俺はこういう映画に目がない。大好物なのだ。


 翌日の朝が来た。枕辺のアナログ時計が「8時」を示していた。洗顔後、台所の電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。七尾製菓の太鼓せんべいを食べながら、熱いやつを飲んだ。


 居室に行き、ニンテンドーDSの電源を入れた。世界樹Ⅲを再開した。1時間ほど遊んでから、電源を切った。専用のケースにDSをおさめてから、愛機を起動させた。メクるを呼び出し、草小説の編集作業を始めた。


 シャットダウン確認後、身支度を整えた。最後のカギをかけてから、自室を離れた。屋根付き通路を進み、剥き出し階段を下った。駅の方角へ歩き出した。途上にある建設中の建物が、どうやらコ**ニらしいことが判明した。

 商売のことはよくわからないが、大きいとは云い難い我が町内で、同じ業種の店をオープンしても、勝ち味は薄いように思われる。あるいは、共倒れ覚悟で、ライバルをつぶしに来たのだろうか。

 

 駅前の両替屋(銀行)に入り、生活費を補充した。帰宅後、愛機を動かし、メクるへ飛んだ。草随筆の編集を行った。これが「最後の投稿」になるかも知れないことを、その時点の俺は、まったく気づいていなかった。〔5月25日〕

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