第10打:架空酒場

 脱水衣類を露台に吊るした。台所に行き、電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、即席コーヒーを淹れた。居室に行き、愛機を起動させた。メクるを呼び出し、ブログの更新を始めた。投稿後、シャットダウン。


 最後のカギをかけてから、アパートを離れた。近所のラーメン屋に入り、カウンター席に座った。店員のおねえさんに冷やし中華と炒飯のセットを注文した。今年…令和最初に食べる冷やし中華である。なかなか立派な冷やし中華だった。炒飯の量もたっぷりで、満足度は高い。そして、安い。千円でお釣りが来た。


 腹ごしらえを終えた俺は、同店から徒歩で30分ほどかかる場所にある巨大商業施設を目指した。誰もいない歩道を黙々と歩いた。しばらく進むと、我が町の田園地帯が広がるのだった。帰宅後に書くつもりの草随筆の文案を練りながら、歩行を続けた。

 施設到着。館内は大層混雑していた。雑貨売場に行き、キーホルダーをひとつ買った。その後、電器売場に行き、ラジカセの棚を中心に物色した。相当迷ったが、結局何も買わなかった。最後に映画館に行き、画面に表示されている上映作品を眺めた。特に興味は覚えなかった。施設を出て、家路についた。


 携帯ラジオの電源を入れた。歩きながら、野球中継を聴く。ファイターズ対ライオンズの試合をやっていた。既に大勢は決していた。奇跡の逆転は期待できそうもなかった。だが、それが起こり得るのが野球というゲームの面白さである。


 途中にある百円ショップとスーパーに寄った。前者で袋詰めの氷を、後者で惣菜と刺身を購入した。自宅に戻り、温水を浴びた。衣服を身に着けてから、露台の吊るしものを屋内に取り込んだ。台所に行き、湯を沸かした。

 愛機起動。メクるに飛び、草随筆の編集に没入した。気がつくと、卓上の時計が「夜の8時半」を示していた。休憩後、ブログを一枚書いた。ダウン確認後、晩酌の支度を始めた。


 先日録音した『ガンダム三昧』を聴きながら、ウイスキーの水割りを呑んだ。酒肴(さかな)は、枝豆、イカの空揚げ、マグロのたたきなど。晩酌終了後、テーブルの上を一旦片づけ、それから改めて、水割りを作った。

 呑みながら、栗本薫の『アムネリスの婚約』を再読した。第三話「カメロン探偵す」にトーラスの名物居酒屋〔煙とパイプ亭〕が登場する。快男児の行きつけの店である。自慢料理は肉まんじゅう。〔5月12日〕

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