第8打:最後の土曜日
洗顔後、台所の電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸き立ての湯で、ドリップコーヒーを淹れた。窓外の景色を眺めながら、熱いやつを飲んだ。居室に二杯目を運んだ。
ニンテンドーDSの電源を入れた。アトラス社の『世界樹の迷宮Ⅲ』を再開した。いわゆる「ダンジョン探索型」に分類されるゲームである。9年前の作品だが、今やっても充分面白い。1時間ほど遊んでから、電源を切った。
DSを専用の箱におさめてから、愛機を起動させた。メクるを呼び出し、草小説の編集に没頭した。休憩後、草随筆の編集に埋没した。気がつくと、卓上の時計が「午後4時」を示していた。作文は俺の最大の趣味だ。これをやり出すと、時の流れを忘れてしまう。
良い面と悪い面があるが、誰でも気軽に創作が楽しめる時代になった。インターネットのおかげである。間もなく幕を閉じる平成は、まさに「ネットの時代」であった。このようなことが可能になるとは、想像を超える展開だった。
砂利の頃から、SFは結構読んでいたが、その中に「ネット時代の到来」を予言する作品はなかったように思う。記憶の喪失の可能性もあるから、迂闊なことは云えないが。
身支度と戸締りを済ませてから、自室を離れた。なにやら寒い。4月の下旬とは思えぬ気候である。翌日の晴天を期待しつつ、近所のスーパーに足を進めた。
鮮魚売場に行き、刺身の盛り合わせを篭に入れた。惣菜売場に行き、惣菜三品を篭に入れた。それらをレジに運び、代金を払った。
帰宅後、ロフトに上がり、日課の腕立て伏せをやった。浴室に行き、温水を浴びた。体を拭き、服を着た。居室に行き、愛機を動かした。
再び、メクるへ飛んだ。同サイトに登録したのは昨年の10月である。それまでは、ぴよぶっくで活動していた。ぴよの閉鎖はまことに残念であり、相応の衝撃を俺に与えた。そのキズは未だにふさがっていない。
シャットダウン確認後、晩酌の支度を始めた。ラジカセの電源を入れた。FMシアターを聴きながら、ウイスキーの水割りを呑んだ。今宵の演目は『サウンドミュージカル 雪色オルゴール』の再放送であった。ミュージカルはいささか苦手だが、物語性が豊かで、相当楽しめる作品に仕上がっていた。
おそらくこれが、平成の終りを飾るラジオドラマになるだろう。ネットも好きだが、ドラマも大好きだ。改元後も存続して欲しい番組である。〔4月28日〕
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