第6打:江戸へ行きたい

 枕時計が「朝の7時」を示していた。布団を出て、洗面所に入った。洗顔後、台所の電気ケトルにミネラル水を注いだ。沸騰後、即席コーヒーを淹れた。窓外の景色を眺めながら、熱いやつを飲んだ。

 居室に二杯目を運んだ。飲みながら、石川英輔の『大江戸庶民いろいろ事情』(講談社文庫)を読んだ。タイムマシンに乗って、訪れてみたいところが幾つかある。江戸はそのひとつである。石川先生も「ロンドンやパリへ行くよりよほど目新しい経験ができることは保証していい」と書き述べられている。


 読後、愛機を起動させた。メクるを呼び出し、草随筆『次元鍋』の編集を始めた。比較的スムーズに筆が動いてくれた。投稿後、シャットダウン。身支度と戸締りを済ませてから、自室を離れた。駅の方角へ歩いた。

 駅前の両替屋(銀行)に入り、生活費を補充した。跨線橋を渡り、広場を縦断して、商業ビルに足を進めた。同館2階の理髪店に入り、伸びた髪をバリカンで刈り落としてもらった。丸坊主である。店を出て、再び橋を渡った。


 デパートの地下にある食料品売場に潜り込み、食べものと飲みものを買った。地上に出て、家路についた。帰宅後、浴室に入り、温水を浴びた。

 居室に行き、愛機を再び起動させた。メクるへ飛び、草小説『スライムの夜』の続きを書いた。本人はバイオレンスホラーのつもりで書いているが、まあ、ダサクである。最大の失敗は主人公を俺自身にしたことだ。随筆とは異なり、小説の主役を自分にすると、様々な形で不便が発生する。今後は気をつけたい。


 投稿後、シャットダウン。卓上を片づけてから、晩酌の支度を始めた。酒はトリスクラシック。酒肴はポテトフライ、塩焼きそば、インゲンの胡麻和えなど。ラジオのジャズ番組(をテープに録音したもの)を聴きながら、水割りを呑んだ。


 洗面所に行き、歯を磨いた。居室に戻り、円盤(DVD)再生機の電源を入れた。ジェレミー・ブレット主演の『シャーロック・ホームズの冒険/悪魔の足』を観る。二回目の鑑賞である。前回は図書館の視聴覚コーナーで観た。15年振りの再会である。時の流れほど恐ろしいものはない。

 悪魔の足は、療養中のホームズが事件解明に乗り出す話である。傑作とは云い難い内容だが、舞台・衣装・小道具と、いずれも丹念に作られており、それらを眺めているだけでも結構楽しめる。吹き替え版の配役も豪華だ。〔4月14日〕

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