第3打:闇市の名医

 終点下車。駅を出て、徒歩で職場に移動した。歩きながら、TBSラジオの『スタンバイ!』を聴いた。今日の話題は「イチローの現役引退について」であった。

 44歳の俺にとって、イチロー氏と羽生善治氏は「動」と「知」を代表する大スターであり、永遠の憧憬対象と云える。イチロー氏が今後どのような活躍を展開してくれるのか、まことに楽しみである。


 職場到着。売店に行き、朝食を買った。休憩広場に行き、空いている卓席に陣取った。菓子パンを食べながら、コーヒーを飲んだ。食後、田中光二の冒険小説の続きを読んだ。読後、卓上を片づけ、それから、更衣室に向かった。


 午前業務終了。職員食堂に行き、券売機でAランチを買った。今日のAはチキンシチューであった。窓際の席に座り、ガラス越しの風景を眺めながら、ランチを食べる。味も量も満足水準に達しているとは云い難いが、ともあれ、食べるしかない。食後、休憩室に行き、小説の続きを読んだ。


 午後業務終了。更衣室に行き、着替えを済ませた。ロッカーの施錠を確かめてから、先輩K氏と合流した。職場を離れ、御徒町へ移動した。出口から、徒歩で1分もかからない場所にある中華料理店の暖簾をくぐった。初めての店だ。

 大層混雑していたが、幸い席を確保することができた。ビールで乾杯した。今夜の料理は餃子、麻婆豆腐、皿うどんなど。いずれも旨い。価格も許容範囲におさまっているし、良心的な店と云っていい。

 K氏には毎週のごとく御馳走になっている。まったくありがたいことである。感謝の他に言葉はない。又、それ以外に捧げるものが今の俺にはないのだった。


 地元駅下車。帰路の途中、ショッピングセンター内のパン屋に寄る。半額セールの時間帯である。パン三個をレジに運んだ。帰宅後、浴室に行き、温水を浴びた。体を拭き、服を着た。居室に行き、軽く呑んだ。その後、歯を磨いた。


 円盤(DVD)再生機を起動させた。志村喬、三船敏郎共演の『酔いどれ天使』を観る。二度目の鑑賞である。1948年に公開されたもの。志村、三船両氏もさすがに若い。黒澤明の演出も冴えており、完成度の高さに瞠目する。

 この名作をリメイクするなどとは考えないことだ。もしやるなら、時代そのものも再構築しなくてはなるまい。物語の舞台を現代に置き換えて…というような安直手法は通用しない。オリジナルに対して無礼だ。〔3月24日〕

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