『脅威ふたたび』極夜〔原始哺乳類型ハ虫類怪獣少女ゴルラ〕登場

 強制瞬間移動させられた華奈は、巨人サイズで片手を掲げ、両目を閉じたポーズで、建物を破壊している怪獣少女から少し離れた位置の背後に現れた。

「……に、勝手なコトばかり……えっ?」


 頭にクワガタムシのような角を生やした、怪獣少女が振り返る。

 スクール水着のように見える、怪獣皮膚の水着を着ていて、長い尻尾を生やした怪獣少女だった。

 背中には結晶状の並んだ背ビレ、まるでヌイグルミの怪獣手袋と怪獣サンダルのような手と足。

 肩から怪獣手袋までの腕と、股間の付け根から怪獣サンダルまでの脚は、結晶が飛び出た人間の腕と脚をしている。


 華奈の中にいるタマタマンが言った。

《原始哺乳類型ハ虫類怪獣少女ゴルラだ……また、ややっこしいヤツが。気をつけろよ華奈》

 ゴルラが言った。

「あんた、うちの仲間け?」

「仲間? どうだろう」

 華奈が答えられないでいると、ゴルラの角から磁力線のようなモノが放出され、磁力線に捕らえられた華奈は動けなくなった。

「なに、これ動けない」


 動けない華奈に向かって、地響きを轟かせて突進してきたゴルラが、激突して華奈の巨体を吹っ飛ばす。

 吹っ飛ばされて、山に激突する華奈。

 土砂や木々が、華奈の股間や胸を隠す。

 さらに突進してきたゴルラは、華奈の両足首をつかむとV字に開脚させて折れた木で隠された中央の箇所を凝視する。

 顔を赤らめる華奈。

「あっ、ち、ちがいます裸じゃありません! こういう模様なんです!」

「…………違う、コレは仲間じゃない……偽物け」


 ゴルラの口の中から、何か光線が発射されようとしているのを見た華奈は、つかまれていた足首を必死にほどいて、ゴルラを蹴って距離を開けて逃れた。

 よろめいた、ゴルラの口から発射されたのは、先端が古代生物のアノマノカリスの形をした不思議な光線だった。

 古代生物光線は、生き物のような軌道を描いて、ビルを貫通して穴を開ける。


「なに? 今の変な光線?」

《古代生物光線だ、やっかいな光線だ》

 ゴルラは、先端がアンモナイトやシーラカンスの形をした古代生物光線を吐いて、周囲の建物を破壊する。

《射程距離はそんなに無い光線だが、迂闊うかつに近づけねぇな、磁力線で相手の動きを止める攻撃も持っているから……よし、華奈ここは帰ってきた新サカナカナの力を試す時だ!》


 華奈の体の中にある華奈空間で、フュージョンアイテムを持った華奈は別次元キャラが描かれたカードを取り出して叫ぶ。

「『美尻女神オ・シリーナ』──『放電怪獣・白銀クィーン』今、二つの力を一つに」

 女神と怪獣の力が融合して、華奈の姿は『オシリ・クィーン』へと変わる。

 ゴルラに向かって、お尻をフリフリ踊るサカナカナ。

「お尻の『お』の字はどう書くの? こうして、こうしてこう書くのぅ♪」

 ゴルラに向かって飛び込んだ電撃尻が命中して、原始哺乳類型ハ虫類怪獣少女ゴルラは、吹っ飛ぶ。

「もう、終わりけぇ!」

 光りの粒子となって消えていく怪獣細胞、ゴルラと分離して意識を失い、瓦礫がれきの上で横たわる少女の姿が残った。


 サカナカナの姿も光りになって消滅して、前回同様、素っ裸で人目を避けて走り逃げる華奈の姿は、SNSで【変態痴女】として拡散された。


『脅威ふたたび』極夜~おわり~

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