最終話・裸体巨大ヒロインよ永遠に

最強最終回怪獣【ゼッタイドン】登場①

 しばらく怪獣が出現しない平和な日々──阪名華奈は、部屋着で机に向かい勉強をしていた。

 部屋の中には他にも。


 華奈の部屋でマンガ本を読んでいる、額にサイの角を生やした。銀色のヒーロー『タマタマン』


 華奈のスマホをいじっている、三角の頭布をしたゴスロリファッションの幽霊『悪美』がいる。


 タマタマンがポツリと言った。

「そう言えば華奈も、ずいぶんと怪獣と戦ってきたなぁ……侵略怪獣とか宇宙人とか、異次元人とか」

 勉強とスマホの手を止めて、回想をする華奈と悪美。

「怪鳥怪獣、地底怪獣、深海怪獣……ロボット怪獣とか、古代怪獣とかも」

「異次元怪獣とか、植物怪獣なんてのもいたね」

 タマタマンが、思い出を続けてしゃべる。

「超の怪獣とか、魔の怪獣とか、邪の怪獣とか、妖の怪獣とか、禍々しい怪獣とか……そうそう、円盤の怪獣なんてのもいたな」

 少し間を開けて、タマタマンが言った。

「そろそろ、最終怪獣が現れるかな? 怪獣パーツも集まったから」



 ブロンズ星人の地下基地にある『怪獣製造工場』──床にはブロンズ色をしたマネキン人形のような、ブロンズ星人たちが倒れている。

 ブロンズ星人を倒して基地を乗っ取った、エプロン姿でヒゲを生やした若い母親で人間体の『原種母体怪獣キングマザードン』が、見上げている視線の先には。


 新たな融合怪獣がいた──女の子と怪獣を融合合体させた怪獣は、W型の女の子座りをして困惑していた。

 キングマザードンがトランプのキングのようなヒゲを撫でながら、誕生した新怪獣に訊ねる。

「合成誕生した気分はどう?」

 牛のような太い角を頭に生やした、怪獣女の子が困り顔で答える。

「どうって聞かれても……まだ、自分の体になれなくて……あたし、なんて名前の怪獣なんですか?」

「命名『最強最終回邪神怪獣・ゼッタイドン』」


 ゼッタイドンが首を横に振る。

「そういう、重っ苦しいネーミングやめてください……あたし、普通の怪獣でいいんです。邪神とか最終回怪獣ってイヤなんです」

「じゃあ、邪神を外して『最強最終回怪獣・ゼッタイドン』で……これ以上の変更は認めないからね」

「うーっ、妥協します……なんか丼モノみたいな名前ですけれど」


 ゼッタイドンが、自分の体についてキングマザードンに質問する。

「なんか、あたしの体ってゴチャゴチャいろいろと付いていますね……本当はシンプルなのがいいんですけれど」

「最終回怪獣だからね、いろいろな怪獣のパーツを組み合わせた。能力と体のパーツを説明しよう……まずは、頭の左右の太い角は敵に突進したり超振動波を出して攻撃できる」

「はぁ? そうなんですか……両脇にある、魚のヒレみたいなのなんですか?」

「飛行怪獣の翼だ、強風を巻き起こして攻撃できる」

「脇の下から風なんて、なんか臭そうですね……あたし、空飛べるんですか?」

「いやぁ、図体がでかすぎて……空は飛べない、面倒くさいから一気に説明いくぞ」


ゼッタイドンA

【頭部】

・牛のように太い角から超振動波。

・口から腐った水のような悪臭を発する。

・両目を閃光から保護するための、三日月型のサンバイザータイプ・スモークゴーグル。


【胸部】

・バスト大きめ。

・両肩に防具のような甲羅、敵から攻撃を受けると耐性ができて、閃光攻撃が可能になる。

・脇に強風を起こす、魚ヒレみたいな翼


【腹部】

・バラの花のような口がある〔エネルギー攻撃を吸収したり、他の怪獣を食べたりもできる〕


【腕】

・左腕、妖怪みたいな目が尖端があって物理攻撃〔ミサイルとかパンチを吸収する〕

・右腕、ごっつくて太いEX的な怪力怪獣の腕、


【足】

・人間の女性の足、太ももまで、編みのニーソックス。足は爪が生えた怪獣ブーツ。


【能力】

・瞬間移動ができる〔一日三回が限度〕


 キングマザードンから長々と自分の体や能力の説明をされた、ゼッタイドンはタメ息をもらす。

「はぁ……なんか、いろいろありすぎて……それにしても」

 ゼッタイAは、チラッと後方を見てマザードンに質問する。

「後ろにいる、この子誰なんですか?」 


 後ろには別の怪獣少女が胡座をかいていた。

 ゼッタイドンAと、後ろの怪獣……ゼッタイドンBは馬の胴体のように、Aの腰とBのお腹で繋がっている同体怪獣だった。


 軽い感じのゼッタイドンBがAに言った。

「よろしくですぅ、お姉さま」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る