第5話
二週間僕は結局秋月さんの気持ちを確かめられずにいた。
そしてとうとう秋月さんが帰る一日前になってしまった。
「今まで入院してた病院って、どこにあるの?」
「東京。」
「東京!?長野からじゃちょっと遠いな...」
「会いにきてくれる?」
「行きたい。だけど...」
「遠いよね...」
「うん...」
「あ、あの聞きたいことあるんだけど...」
「いいよ?」
「秋月さんは僕のことどう思ってる?」
「...私も、好き。だけど...」
というと秋月さんはボロボロと涙を流し始めた。月に照らされ、不思議な光で包まれながら。
「ど、どうしたの?大丈夫?」
「うん。...私、明日からまた病院に戻るのが苦しくて...こんなに誰かと仲良くなれたの初めてなのにっ...なのに...影山君が告白してくれてもっとここに居たいって思うのに、そう思えば思うほど辛くて...本当にどうすればいいのかわからなくて...」
「...僕、絶対東京に行くよ。だから...それまで待っててよ。」
「...本当に?絶対だよ?」
「うん。絶対。約束するよ。だから秋月さんも待ってて。」
「わかった。待ってる。」
そう言うと、秋月さんは自分の白い髪を2、3本抜き、僕にそれを渡してきた。
「これ、持ってて。私の髪、切っても月の光に反応して光るの。だから私がいなくなってもこれをみて私を思い出してほしいの。」
「うん、わかった。」
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