第11話 イリュージョンの種明かし

 その日の深夜、堤防の上で僕は彼を待っていた。

 さざ波の音が聴こえる。



 1時を回ったのに、やたらに蒸し暑い。

 全身が汗ばむくらいだった。



「よォ、ポチ❓ こんな時間に海水浴か」

 陽気に馬場アキラが堤防へ昇ってきた。



 深夜だと言うのにヤケに明るい。



「ポチじゃねえよ。ここに座れ」

 堤防に腰掛け催促した。



「おいおい、なんだ。ノロケ話しか」

 ニコニコして隣りに座った。


「ケッケケェ、どうだ初恋のビーナスの抱き心地は❓ オッパイ、デッケェからなァ。

 羨ましいぜェ……😆🎶✨」

 いきなり股間を掴んできた。


「るッさい! そこを触るな」



「なんだよ。そんなに怒るな。これでも、かなりアシストしたンだぜ」



「フン……、やっぱりな」

「何が、やっぱりだよ」



「アキラ❗ お前が今回のゲームの【悪魔メフィスト】だろう」


「おいおい、まさかァ、俺がどうして」



「西高のヤンキー…… 阿久堂だよ」

「ああ、ヤツがどうかしたのか」



「ヤツが首を吊った画像を見せてくれたよな」

「ああ、害虫が減ってザマァ~みろさ」


不良ヤンキーを自殺に追い込んだのは、お前だ❗」



「おいおい、ご機嫌だな。どんな手品イリュージョンを使えば、そんな芸当が出来るんだ」



美海ワイルド・ビーナスさ」


「ケッケケェ…… 彼女ビーナスを使って、どうしたッて言うんだ。呪いでもかけたのか。ホラーだね 😆🎶✨」



「西高のヤンキーは相当、腕には自信があった。当然、我校ウチ連中ヤツらじゃ相手にならない。

 だが、美海ワイルドビーナスが西高のヤンキーを返り討ちにした。

 武闘派で鳴らしたヤツの評判はガタ落ちだ」



「だから恥ずかしくって、首吊って自殺したッて」



「ま、それが引き金になったんだろう……

 面目を潰された彼はヤンキー仲間からもさげすまれるようになった」



「ザマァ~みろさ。阿久堂アイツは、さんざん悪事を働いてきたんだ」



「ああ、ネットには壮絶な事が書かれている。中でも西中時代の悪事だ」



「……」アキラは視線を逸らせた。



「一人の女子高校生が乱暴され、それを苦に自殺を計った。

 僕たちが墓石に手を合わせていた彼女……

 高遠彩香さんだ❗❗」



「フフ、だから【正義の鉄槌】が下されたンだろう……」

 小石を暗い海へ投げた。



「そうかもしれない……

 高遠彩香さんには彼氏がいたと言う噂だ」



「へェ……」




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