真相

 「私は…圭君が好きなの譲って…」

 薫はついに泣き始めてしまった。

 「私は…ずっと圭君が好きだったの」

 「ねえ圭君私と結婚しよ?」

 色々と飛躍しすぎな気がするが、薫なので平常運転だろう。

「待ってくれ俺の気持ちはどうするんだよ」

「気持ち?そんなの知らない圭君に拒否権は無い」

「なんなの⁉」

 鴫谷の声は教室中に轟いた。

「もういい」

 そう言い放ち、鴫谷は教室を飛び出しってしまった。

「作戦成功…」

 ぼそっと薫は呟く。それと同時に教室中から非難の声が薫を刺した。

「やめろ皆!!」

 過去一大きな声が出た。

「ちゃんと話を聞こうよ」

 人の話を聞かずに批判するとはどう言う事だ。

「薫…『作戦成功』ってどういう事?」

 泣き崩れていた薫の目線に合わせて訊いた。

「私は二人の関係がもどかしかった。仲良しなのに付き合わないことが」

 ゆっくりと口を開いた。

「だから私が鴫谷ちゃんの嫉妬心を煽るようにした」

「だから私があたかも圭君を好き好きアピールしたのだよ」

 何故か偉そうに説明する薫だが、まだわからない嫉妬心を煽るなら学校内でアクションすればいいのに、なぜカラオケに俺を誘ったのか。

「なぜカラオケに俺を誘ったんだ?校内で絡むんならまだしも、外部で絡みがあっても鴫谷には伝わんないだろ?」

「それはね、鴫谷ちゃんがその日、私たちが行ったカラオケ店の近くに来るって知ってたから圭君を誘った」

「なんで鴫谷がその日そこに行くってわかった?」

「私の情報網舐めないで…メンヘラは怖いのよ」

 自分でメンヘラって言っちゃうんだ。

「わかったなら今すぐ鴫谷ちゃんの所に行ってあげて」

「わかった…でもどこにいるかな…」

 何となく屋上にいる気もするけど…。

「それは自分で考えな…その方が良いぜ」

 薫は無駄に良い声で言った。

「ああ、行ってくる」

 教室を飛び出すと真っ先に階段を駆け上がり、鴫谷がいるであろう屋上に向かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

何故か学年一の超絶美少女に付きまとわれるんだが?! 葉月琴葉 @paseri13714

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ