新たなヒロイン登場か⁉

 おかしい。何故か皆に避けられている気がする。

「見てぇwあいつが噂の奴だよ」

 チャラ女は廊下を歩く俺を指さして笑った。それに噂ってなんだよ!!

 俺何かした?駄目だ、昨日妹のプリンを勝手に食べたことしか思いつかない。

「あ!三井くーん」

 向かい側から手を振り、こちらに向かってくる鴫谷しぎやの姿を見たら、少し安心した。

「ん?どうした?」

「今日もお弁当一緒に食べよ?」

 鴫谷の可愛らしい誘いに俺は大賛成したが、その間にもかなりの視線を感じていた。


 長い長い授業が終了し、俺は鴫谷との待ち合わせである屋上へと向かった。

「ひやぁっ」

 廊下の曲がり角を曲がったとき、一人の少女とぶつかった。

「ご、ゴメン。大丈夫」

 俺は転んでしまった少女に手を差し伸べた。

「大丈夫で…」

 少女はそこまで言い、何かに気づいたような顔をした。

「やっと見つけた…」

 彼女はその小さな腕で俺に抱きついてきた。

「ちょ、何?」

「と、言うより話し掛けてくれた?」

 首を傾げて言う少女を見て、更に俺の頭上に疑問符が浮かぶ。

「ん?」

「君は私の運命の人、だから他の女は寄せ付けない」

「人違いじゃないですか?」

 そうだ人違いだ。これで解決!なんせ俺はモテないからな!!

「違う。三井 けい。君に言っている」

 この少女は確かに俺のフルネームを言った。

「私はかおる

 謎の少女は薫と名乗った。

「あなたに悪い虫を寄せ付けないため、噂流した」

 淡々と薫はとんでもないことを口走った。

「噂って?」

「それはもちろん。『三井圭は、薫っていう可愛い彼女がいながら他の女にデレデレ浮気している』って流した」

 最近妙に視線を感じたり、「噂」ってワード聞いたりしたのは、この子が原因だったのか。

 さすがの俺でもわかる。この子はメンヘラ系ストーカだ。

「すまん。人を待たせているんだ。それでは!」

 ついに怖くなってその場から逃げた。何なんだあの子?


「あ、三井君遅いー!」

 屋上の扉を開けると鴫谷は俺に手招きした。

「ごめん遅れて」

 変な少女に絡まれたことは敢えて伝えないことにした。

「ところで…後ろの女の子は誰?」

 え、後ろ?恐る恐る振り返ると、そこには…。

「なんで逃げるの圭君~」

 不気味な笑みを浮かべた薫の姿があった。

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