妹、襲来!


「あ!!おにーちゃん!!」

 妹は弁当箱を抱きしめ教室の入り口から叫んだ。

 妹は心の中で思うと毎回やってくる。以心伝心ってやつか?

「三井君?この方は?」

 鴫谷しぎやは少し不機嫌そうな顔をして尋ねてくる。

「この子は俺の妹」

「へ、へー。妹ちゃんかぁ」

「はい!おにーちゃんがいつもお世話になっています!」

 外ではいい子なのに家だと恐ろしくなるんだよなぁ。

「あ、でもね、今日はお兄ちゃん貸してね?」

 何故だろう鴫谷は笑顔なんだが目が笑ってないような。

「はい!わかりました!」

 あれ?いつもと違って聞き分けが良いな。

「じゃ、私行くから、お兄ちゃん後は頑張りなよぉ~」

 妹は意味不明なことを耳打ちしてきた。一体何を頑張れというのだ?

「むすーぅ」

 何故だ?なんで鴫谷は拗ねている?

「どうした?頬を膨らませて?」

「別にー」

 どこか不貞腐れている様子だ。

「食事中にごめん、ウチの妹が」

 多分この子は食事の邪魔をされた事に怒っているんだ!

「ぐへぇ。怒ってないよ~」

 さっきとは態度がまるで変わっていた。

「ほら。これ食べなー」

 鴫谷自身が使っていた箸で、何かを掴み俺の口に入れた。

「待って、何入れた?」

 確か濃い紫みたいな色が見えたような気が…。

「うん!ナスだよ!」

「うぐぅ」

 うぅ。俺の嫌いな食材…。?!…。

「ご、ごめん、苦手だった?ゴメンね、勝手に口に放り込んで…」

 鴫谷はかなりあたふたし、かなりテンパっている様だ。

「美味しい…」

 鴫谷の作った茄子の生姜焼きは、生姜の香りが強く、茄子の触感もトロトロしていて美味い!

「これなら食べられるよ!鴫谷さん凄い!」

 あまりの嬉しさに手を繋いでしまった。

「え、そのありがと」

 恥じらいながら目をそらす鴫谷。


「うふふ。おにーちゃんうまくやってるねぇ」

 教室の入り口から妹ちゃんは二人を観察していた。

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