可愛いは最強のスパイス!

 昼休み、それは授業で疲れた学生の憩いの時間。 

「三井くーん!」

 そんな中、可愛げに挨拶してきたのは鴫谷しぎやだった。

「ん?どったの?」

「お昼一緒に食べよ?」

 鴫谷は可愛らしいお弁当包みを片手に俺の前へ座った。

 彼女はウキウキで包みを開け、俺も弁当箱を開けた。

「すっごーい!おいしそう!」

 鴫谷は俺のお弁当箱を覗き込んだ。

「鴫谷さんのお弁当もおいしそうだね」

 彼女のお弁当には、ハート型の卵焼きが存在感を放っている。

「え?本当?嬉しい…、これね、私が作ったんだよ!」

「すごい。このハートの卵焼きも?」

 やはり気になるのは、このハートの卵焼きだ。

「これねぇ。斜めに切って片方をひっくり返すだけ!!簡単に作れるんだ!」

 鴫谷は得意げかつ可愛げに一生懸命に説明をする。

「食べたい?」

 正直に言うと食べたい。でも鴫谷のおかずだ。

「はい、あーん」

 デジャブだ。しかし、欲望には勝ってなかった。

「あーん」

 ぱくっ。ん~!!程よい甘さが口に広がる、恋的な甘さと相乗して美味。

「うん。美味しい」

「えへへ。三井君の卵焼きも貰って良い?」

「うんいいよ」

 あれ?一向に箸を動かさない、もしかして食べさせなきゃ駄目なパターン?

「は、はい、あーん」

 何だよこれ、とんでもなく恥ずかしい。

「あーん。ぱくっ」

 幸せそうな顔するなぁ。此方まで幸せになってくる。

「しょぱい卵焼きも美味しい…」

 美味いか?そうだろう何を隠そう家の卵焼きは、母ちゃん特製卵焼きだからな!!

「鴫谷さんの甘い卵焼き俺は好きだな」

「…ありがと」

 今期最大の笑顔いただきました!!。


「私たちが結婚したらさ、交互に作ろ!しょっぱいのも甘いのも」

 え?結婚?ケッコンって言った?展開が早すぎるついていけない。

「…ッ乙女が軽々しく結婚って言うんじゃありません!!」

 他の男にも言っているのか?…この感情は…嫉妬?

「はーい」

 うん、聞き分けの良い子。妹もこれ程聞き分けが良いと助かるのに…。


「あ!!おにーちゃん!!」

 あ、やっぱり来たか、妹よ。

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