これは放課後デートなのか?

「待ち待った放課後!」

 さぁ。帰ったら何しよう。楽しみだなぁ!!

「ね!一緒に帰ろ~!」 

 鞄を持って話し掛けてきたのは鴫谷しぎやだ。

「え、あ、うんいいよ」

 特に断る理由もないので誘いに乗ることにした。 


 学校から最寄りの駅までの道、他愛もない話をしていた。

「でね、うちのママがねぇ…」

 可愛らしい笑顔で語る彼女の姿はまるで天使のようだ。

「パンケーキ作ってくれてね!可愛かったの」

 楽しそうに話す彼女を見ていると、自然と笑みが零れる。

「見て見て!!これ写真」

 向けられたスマホの画面には、ホイップクリームと苺が載っているパンケーキが写っていた。とても美味しそうだ。

「うん、美味しそうだ」

 かなり率直な感想だが、これが俺の精一杯だ。

「えへへ。あ!そうだ今度食べにおいでよ。うちのママの作るパンケーキは絶品だから」

 かなり嬉しいお誘いだが、こんな俺がお邪魔して良いのか?

「うん、ありがと」

 まぁ折角だし、彼女の厚意を無下にはできないかな。

「あ、着いた」

 いつの間にか駅に着いていた。いつもなら長く感じた道が、今日は短く感じた。これが友情パワーか?!


 改札に入り、「じゃあね、また明日」と鴫谷が言った。 

 そして、それぞれ別のホームに着く。


「三井くーん!!」

 鴫谷が線路越しに声を掛けてきた。

「ん?どうした~?」

「バイバーイ」

 彼女は笑顔で大きく手を振っている。

「おお!バイバーイ」

 それに負けぬと応戦した。


 暫くして帰りの電車が来た。乗り込むと、いつもは満員の席が一つだけ空いていた。

「ラッキー」

 なんか今日は色々あった一日だったな!

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