勘違い

「眠いぃ」

 昨日はオールしてゲームしたから当然か。

「ねぇねぇ!三井君!」

 昼休み、机に伏せて寝ている俺に、お構いなしに話しかけてくるのは鴫谷しぎやさん。

「只今、返信することができません。時間を空けてお試しください」

 機械音声チックに応えた。

「むぬぬぅ」

 そんな声を出されると、かなり心苦しいが致し方無い。

 だって眠いんだもの みつい。

「起きるまでここで待とぉ」

 何故かそう言って俺の前の席に座った。

「…」

 凄い視線を感じる。

「寝たかな?」

 彼女はそう問い掛けてきたが面倒くさく返事をしないでいると、彼女の吐息が俺の耳をくすぐった。

「なんで気づかないよ」

 あれ?これはまさか「あなたが好きなの」ってなるラノベ主人公パターンか?!


「次、移動教室だって事」

 その瞬間冷や汗をかく、やべぇ忘れてた。

「うひゃ」

 急いで飛び起きると彼女が驚いたような声を出す。その間にも準備をする

「ほら、早くしないと、間に合わないぞ」

 三井は鴫谷の手を取って促し、理科室へ向かった。


 キーンコーンカーンコーン

「アブねぇギリギリセーフってとこかな」

 そんな独り言を漏らし、額の汗を拭こうと手を伸ばした。

「て、手ぇぇええ」

 何故か鴫谷と手を繋いでいたことに驚き叫んでしまった。その瞬間記憶が蘇った。

 確実に俺から繋いでいる、無意識とはいえ末恐ろしいな。

 ふと鴫谷の方に目をやると満更でもなさそうな顔をしている気がする。

「よかった、殴られると思った」

「殴らないよ!!」

 どうやら怒ってはいなさそうだな。

  この直後。先生が入ってきた。

 あのことが少し気まずかったが普通に授業を受けた。

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