温泉旅行 feat.アキラ

第33話頑張った御褒美

クソ可愛いぃー!


朝、目覚めるとジュンの寝顔が目の前にあった。

本当に年上?と疑う程のあどけなさ。


無防備。


俺に寄り添ってスゥスゥと寝息を立てて熟睡している。

それだけなのに幸せ過ぎる。


今日は初めての温泉旅行。


こんなに長時間一緒に居るのも初だなあ。

仕事に支障をきたさない様にとゴールデンウィーク中は我慢しまくった御褒美みたいだ。


本当はずっと独占していたい。


案外、嫉妬深いな・・・俺。


「んー。おはよ・・・。」

うーんと伸びをしてジュンは目を開けた。

「おはよう。」

髪を優しく撫でて額にキスをした。


「何か照れる。」

ニコッと笑い俺に抱き着いてくるジュンを抱き締めた。

このままベッドでイチャイチャしていたいけど。


「朝ご飯食べようか?」

「うん。温泉!温泉!」

すっかりジュンのテンションも上がって完全にお目覚めだ。


朝ご飯は軽く作ろう。

「卵焼き?スクランブルエッグ?目玉焼き?」

「うーん?トーストならスクランブルエッグかなあ。」


OK。ふわふわのトロトロの作ろう。

トースターに食パン入れてっと。


後はサラダも付けるか。


「どうぞ。」

「わー。何か朝から幸せー!」

ジュンは本当に嬉しそうに笑う。


昨日あのまま寝ちゃったからなあ。御飯炊くの忘れてた。

パン買っといて良かったよ。


いただきます。


2人の朝食も同棲してるみたいで良い。

そのうち・・・。一緒に住みたい!等と考えたりして俺の顔も綻ぶ。


「うまーい!」

ジュンが嬉しそうで何より。

次はもっと凝った料理振る舞いたいと思えてくる。


「ねえ、何処の温泉行くの?」

「ん?別府だよ。やっぱり1度は行ってみたいでしょ?」

九州は色んな温泉があるけど別府温泉はその中でも有名所だ。


「おー!行ったことない!」

「俺もそんなには無いんだけどね。」

学生の時に友達と2回?行ったかな。

でも、ナビもあるし何とか行ける筈。


朝食後に軽く旅支度。

着替えと・・・。どうしようかな。ローションとバスタオルにゴムもいる?よね。

昨日の今日だけど。

やっぱりしたい!!!


ジュンはどうかな。良い雰囲気になったらってことで。持っていこう。


俺って下心だらけ。


「準備出来た?」

着替えたジュンが背後からそっと抱き着いて来た。

「うん。行こうか!」

振り返ると嬉しそうな顔が近くてチュッと軽くキスをした。


いざ!別府温泉へ!


初の2人旅。


車を軽く走らせて高速へ。

「福岡方面なの?」

ジュンが素朴な疑問をぶつけて来た。


九州の県同士は近そうで案外そうでも無い。隣同士の県は簡単に行けるけど。例えば佐賀県から大分に行くには福岡経由となる。

直通の高速道路が作られて居ない所が多くて割と遠回りな感じがするんだよね。


福岡県は何かと住むにも交通も便利なんだけど。

「あー。そうか確かに電車も直通って見た事無いね。」

ジュンは納得した様に頷いた。


「アキラさん運転上手いよね。」

「そう?普通だよ。」


「俺も車買おうかなあ。東京では車、必要無かったから。」

ジュンはそう言って苦笑した。


こっちは渋滞も少ないし運転しやすいのと電車や地下鉄が東京みたいに便がないから車は必要不可欠なところがある。

「俺はジュンが助手席に居るのが嬉しい。」

なんてちょっと願望を言ってみたり。


「今度、運転させてよ。練習ね?」

「勿論。」

ジュンの運転って言うのもアリだな。

交代で運転したらもっと遠出もしやすいし。


途中のサービスエリアで一服して高速を降りた。


「大分県だー!!」

窓の外を見てはしゃぐジュンが可愛い。


「到着。別府まではもう少しだよ。」

景色が良いなあ。

大分はそこまで都会じゃない。

でもそこが良いんだ。


「何か山が近いね!緑が癒されるー!」

「そうなんだよね。温泉街も良いよ。」


俺も凄くワクワクして来た。


昨日、改めてゴールデンウィークの事件の話はしなかった。

ヒロさんの事とか。


再び蒸し返すのもなあとも思うけど。


「アキラさん?どうしたの難しい顔してる。」

「あはは。そう?」

顔に出てたか。


ゆっくり温泉に入って今後の話とかしようかな。


「あれって湯けむり?!」

遠くに温泉街が見えてきた。


「まさにそうだね。」


今日の泊まりはリゾートホテル。

「うーん。こう言う老舗旅館っぽい所も良かったね。」

車の中から見える大きな温泉旅館。

高そうだけど。


「何処でも一緒なら嬉しいよ?」

ジュンは外の風を浴びながら優しく微笑んで。


「じゃもう少しだよ。」

少し山を登った所へ。


麓からも見えてる大きなホテル。


「もしかしてあれ?!」

「そうそう。」


評判は昔の友人から聞いてた。遊ぶのには最高らしい。


「着いた!!」

駐車場に車を停めてホテル入口まで歩く。

本館と別館合わせたらかなりの広さのあるリゾートホテル。


それがゴールデンウィーク明けで安くで泊まれるのが有難い。


「楽しみだね。」

「うん!!」

無邪気なジュンのはしゃぎっぷりに俺のテンションも最高潮。


チェックインを済ませて。


本日のお泊まりは本館となった。

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