第20話人員は確保したけれど

昨日はあの後、スケジュールを見直して昼の人員を1人増やした。

これで今日は何とか捌けるやろ!


と、張り切って出勤したのに朝から昨日程の忙しさが無い。

11時過ぎなのにフードコートも疎らだし。


客の同行読むのって難し過ぎる・・。

何故?今日はこのまま暇なのか?

取り敢えず、たこ焼きは時間かかるから焼かせよう。と指示を出していた時だった。


「お疲れ。今日の休憩出しは考えたた方が良いみたいだよ。」

お店にアキラさんがフラっと顔を出した。


「そうなの?」

「うん。何かうちの店の主婦マネージャー達が言うには1階の催事場でヒーローショーが11時30分と14時30分から。」

ヒーローショーか。そう言えば従業員通路にそんなポスター貼ってあったなあ。


「今、1階の催事場は親子連れでいっぱいだってさ。」

「と言う事は?12時過ぎにMAXで忙しくなるって事?」

正解!とアキラさんは苦笑いした。


「確実にフードコートに来るよ!じゃ、また後で!」

有難い事を聞いた。


12時焼き上がりくらいで作りまくるか。


ショッピングモールはモールのイベントを考え無いといけないんだなあ。

他には雨の日は無条件で客足が伸びるとか。

学校行事の代休も関係してくる。


そこが他の店舗との違いだとアキラさんは言っていた。

ゴールデンウィークのイベント情報もっと熟知して置く必要あるな。

まだ5日もあるし。



人員確保した事とアキラさんの助言のお陰で今日はスムーズに仕事が出来た。

売上も前年を超えそうで疲れも吹っ飛ぶ。


2回目のヒーローショー終わりのピークを終えて休憩!


残念ながらアキラさんとはなかなか休憩が被らない。


これも連休明けまでの辛抱だ。


今日の御飯は1階の食品売り場で弁当を買って社員食堂へ。


あー。本当に立ちっぱなしって疲れる。

これも慣れなんだろうけど狭いスペースにずっと立ってるのは足の裏が痛い。


弁当は中華弁当!麻婆豆腐と炒飯が入っていて安かったから買ったけど美味いな。

中華シリーズ制覇しちゃおうかな。青椒肉絲弁当も美味そうだった。


御飯を堪能して喫煙所に入った時だった。

店から電話だ。


「もしもし。どうしました?」

まためちゃくちゃ忙しくなったのかな。

休みたいのになあと思いつつ・・。


「あの。事務所から電話がありまして。今日も御意見が来てるそうです。」

とパートのお姉さんが困った声でそう言った。


またー?ちょっと可笑しく無い?

「解りました。事務所行ってみます。」

あーもー。


こんなにクレームって来るものなん?


今日は待たせた時間もそう無いし。

冷めたたこ焼き出して無いし。

対応も・・?大丈夫やと思うけど。


一服して事務所へ向かった。


何かテンション下がって疲れが出る。


事務所に着くと

「あれ?また?」

アキラさんも居た。


「そうなんだ。ちょっと見てよ。」

それは不満そうな顔で御意見を見せてくれた。


『SSSバーガーは不味い!!!』

って何この中身の無いクレーム。


「まあ、書くけどさ。」

「俺の所も御意見。何したのかなあ。」


事務員さんに話をして御意見を貰った。


『不親切で高い!!』

何やこの中身の無いクレーム。


「ちょっと見て。」

アキラさんに見せるとプッと吹き出して笑ってくれた。


「本当に有り得ないよねー。」

2人で事務所の空いてる席に座り今日も謝罪のコメントを書くことにした。


ふと、隣のアキラさんの手元を見た。


ん?似てないか?


「ねえ。字が似てない?」

「え?」

2人で御意見書を並べて見た。


「言われて見ると。」

アキラさんは頬杖ついてちょっと眉間に皺を寄せて見比べている。

「いの字と!!がね。と雑さ?」

2人で首を捻る。


考え過ぎ?


「言われると昨日の字にも似てる。」

アキラさんがそう言ったので思い出して見ると言われて見ればであった。


「まあ、たまたま?」

「うん。同じ人が毎日来てるのか?」


2人でブツブツ言いながらも謝罪文を書き事務所に提出した。


事務所からの帰り道。


「ねえ。もし、明日また御意見来たら考えようか。」

「そうだね。あまり客の顔を覚えて居ないけど。観察してみよう。」


二度あることは三度ある?


そうならない事を願って明日は更に気を付けて仕事をしないといけないと思った。

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