第7話 こいつが──!?
俺は闘気を発動する。
白いオーラが俺から放出される。
絶対に捕まらないぞっ!
「あらぁん、貴方闘気を使えるのねぇん……」
「「「なっ!? この年でか!?」」」
「俺は────人生で1番本気を出しているっ!」
本気の本気だっ!
「「「だろうなっ!」」」
「絶対に変態共に屈しないっ!」
足掻くっ!
「「「変態じゃねぇし!」」」
「あっは〜〜っん」
「変態じゃないか!」
「「「本当に勘弁してくれっ!────がっ……」」」
俺は男3人がオカマに注意を持っていかれている隙に頭をぶん殴り、吹っ飛ばし失神させる事に成功する。
後1人────
「やるわねぇん」
オカマは白いオーラを纏う──
こいつも使えるのか……。
というか────俺めっちゃ体しんどいんだけど!?
息苦しさが半端ない。これ以上は俺が限界だ。
こんな所で捕まるわけにはいかないっ! 捕まったら────俺が色々な意味で死んでしまうっ!
「絶対に逃げるっ!」
俺はジャンプする──建物二階まで飛び上がった俺は逃げれる事を確信した────
「うふふん、甘いわねぇん」
────なにっ!?
俺の真後ろからオカマの声が聞こえてきた。
首の後ろに衝撃を感じ、俺の意識はそこで途絶えた。
◆◇◆
首が痛い……。
首の痛みで俺は目を覚ます。
見渡すとまた部屋の中だった。
────そういえば!? 俺あのオカマに負けたんだ!
キスして戦う力を得てもいきなり強くなるわけじゃない。力を使うきっかけを得るだけだ。
現に俺はオカマになす術なくやられている。確かに、この能力は出来ない事が出来るようになる……かなりチートのような気がするが──
──ゲームや物語のように急に強くなるわけじゃない……。
冒険者としてやっていけるのかも自信がなくなったな……。
「はぁ……」
────!?
大事な事に気付いた……俺は負けたんだ……あのオカマに──という事は……純潔は守れなかったのか??
俺はみるみる血の気が引いていく。
「うふ〜ん、目が覚めたわねぇん」
「ひっ」
いつの間にか近くにいたオカマに気付き、俺はガタガタと震え上がる。
「うふふん、怯える顔も素敵よん♪ 安心なさい。何もしてないし、ナニもしないわん」
その言葉で俺は胸を撫で下ろす。
「────なら、何で俺をここに……」
「それはねぇん……入りなさいん」
ギィイ
────!!!
扉から入って来たのはダリルさんだった。
「ギルマスあんがとさん。────俺が探してたから、連れて来て貰ったんだ。お前────文無しだろ?」
探してるのは知っている。あれだけ冒険者達を煽っていたし、それを見ている。
理由が俺の心配をしてくれたという事もわかった。
だが────俺が気になったのは!
────このオカマがギルマスだったという事だっ!
「このオカマ────本当にギルマスなんですか?」
「お前、最初に聞くのがそこか?!」
「だって、ダリルさんが、冒険者ギルドで騒いでたの見てましたし……それに俺の心配してくれたのも今知って感動しましたが────そこのオカマがギルマスという事実が俺の感動を全て奪い去りました」
俺は淡々と正直に話す。
「まぁ、ギルマスなのは事実だな……しかも──かなり強いしな……」
確かに一瞬で気絶させられたしな……。
「酷いわぁん。貴方が可愛い男の子探してるって言うから見つけてあげたんじゃなぃん」
「いや、お前気持ち悪いから話すのやめろっ!」
それは俺も心底同意する。
「それで────俺は捕まりましたが……どうするんです?」
「もちろん連れて帰る。親父から預けられたのもあるが──あの時のお前の顔はどう考えても────ほっておけるような表情ではなかった。預かったのは俺達だ。最低限の世話ぐらいはする」
こんな……こんな人が世の中にはいるんだな。
俺は人の優しさに触れて涙が自然と流れる。
いや、ティナやエリーさんも優しかった。この変な能力のせいで全て台無しになってるけど。
「ありがとう……ございます」
俺は声を絞り出しお礼を言う。
「えーっとぉん、コウキ君だったわねぇん。貴方ギルドに来たって事わぁん……登録するのよねぇん? 見た感じ14〜15歳ぐらいだけどぉん」
ギルマスが気持ち悪い話し方で雰囲気を壊しに来た。
言ってる内容はまともなんだけどな。
「そうですね。1人で生きて行く為に登録しようと……年齢は大丈夫だと聞いてますが問題でもあるんですか?」
まさか、年齢の規則が変わったとかなのか?!
凄く真剣な顔のおねぇギルマスは続けて言う。
「────闘気を使えるみたいだけどぉん……危険な仕事させたくないわぁん。私の恋人になったら養ってあげるわよぉん?」
「全力でお断りします。さぁ、ダリルさん行きましょう」
俺は即答し、ダリルさんに行こうと伝える。
「ん、あぁ。とりあえず冒険者登録だけしとけ。金は俺が出してやるから」
そして、この後登録をし──俺は冒険者として初めの一歩を踏み出した。
受付嬢と仲良さげに話している姿をオカマギルマスがハンカチを噛みしめながら見ていたが。俺は完全に無視した。
ノーモア変態っ!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます