第3話 この世界の人は超人だった!
────こっ、これは!?
露出高っ!?
胸デカっ!!!
ここは天国かっ!?
いや、異世界か!?
あと、褐色肌に赤髪ロングだっ!
しかも超絶美人っ!
さすが異世界っ!
出会いに乾杯だぁぁぁぁっ!
俺は今まさに混乱しているぞ!
あーこんな子が彼女になってくれないかな〜っ!
内心、狂喜乱舞していると、女性が俺を起こしながら顔を見て──再度話し掛けて来てくれる。
「──名前は? 私はティナ」
「俺は──光輝……」
お互いに見つめ合う────
胸がときめく。
これはまさか……運命の出会い?
俺はこの時────生まれて初めて恋をした────
「コウキ……────君、美味しそうだね……ジュル……持って帰ろう〜っと♪」
その言葉と共に俺の時間は止まる。
えっ?
どゆこと?
さっきまで自己紹介してたじゃない!? 唐突過ぎて意味がわからないよ?!
それより、そのジュルって顔が凄くエロいんですが!?
っていうか、美味しそうって──俺、持って帰られて──
──食われるの?
俺の視界にオークの死体が目に入り、俺は段々と青ざめていく……。
オークの下半身は吹き飛んでいた……そして────ティナの後ろには大きな斧が転がっている……。
あんな巨大な斧振り回し、いとも簡単にオークを殺したティナは普通じゃないな。
そして、それは────俺が逃げる事は不可能という事と同義だ。
異世界に来て、初めて会った人らしき人は──
──凄い美人だけど、不穏な言葉を言い──
──大斧を軽く振り回すぐらいの超人だった。
俺の危機は────まだ去ってないらしい……。
ティナは固まった俺をお姫様抱っこする。
────って体が超痛いっ!?
そして、ティナは鼻歌を唄いながら走り出す。
俺は内心──
神様────助けてくれ〜っ!
────と思ったが。
──ブーメランパンツ履いた上半身裸のボディビルダーのおっさんが脳裏をよぎり、俺は色々と諦めて全身が脱力する。
思い浮かべた顔がインパクト最強のおっさんとかあんまりだっ!
次に転生する時は────女神様を所望するっ!
魂の叫びが俺の中で木霊する中──俺は赤髪女性の猛獣のような笑みを浮かべた顔を眺めながら────運ばれていった。
◆◇◆
ティナは大斧を背中に担ぎながら、俺を抱えているというのに速度は落ちる事なく森林の中を走り続ける。
たまにゴブリンやオークなどの魔物も見かけるのだが……獰猛な笑みを浮かべ──片手で俺を抱き抱えたまま、もう片方の手で大斧を振り回し──肉塊に変えていた。
修羅だ……ここに修羅がいる。
これは、やはり逃げれそうにないな。走る速度も速すぎる。
けど────何度見ても凄い美人だな……一目惚れとは無縁だと思ってたけど、あるもんなんだなぁ。
でも────俺食われるんだよな?
この世界って、人食うのが普通なのだろうか?
余命もそんなにないならせめて────このお胸様が触れている場所の余韻に浸ろう……。
そう思った時、ティナは立ち止まる。
「さぁ、着いたぞっ!」
お胸様の感触は味わえず、どうやら目的地に到着したようだった。
死ぬ前に堪能したかった……。
見渡すと、小屋があった。
おそらく、ティナが住んでいる場所だろう。
そして────その近くに何か置いてあるのを発見する。
骨だ……。
俺は生まれて初めて一目惚れし、好きになった人に食われると思うと──涙が溢れ出てきた。
「どうしたんだ?? そうか──傷を負っていたな……ほらっ、これでどうだ?」
ティナは瓶を取り出し、中身を俺に振りかける。
すると──少し痛みが消えていく。
「──これは?」
俺は声がまともに出るようになり、質問する。
「これはポーションだぞ? 知らないのか?」
俺は縦に首を振る。
「これから俺食われるんですよね? 何で治したんですか?」
俺は疑問に思った事をそのまま聞いた。
「ん? あぁ、私はアマゾネスだから────気に入った男は自分の物にするだけ。別に食ったりしない。美味しそうって言うのは──夜の──は・な・し」
俺は物理的に食われるわけじゃないとわかり、胸を撫で下ろす。
というか、アマゾネスって戦闘民族で男を拐って行くとかいう部族じゃなかったか?
まぁ、そんな事はどうでもいいっ!
俺は片思いではなく────両思いだとわかり感喜した。
そして────
「────なら結婚して下さいっ!」
俺は勢いに任せてプロポーズする。
自分でも何言ってるんだろうと思ったけど──嬉しすぎて言ってしまった。
「いいぞ。これからはずっと一緒だからな? 一目惚れとか初めてだし、私の全てはコウキにやる。だから──コウキの全ては私の物だ」
あぁ、俺はもう死んでもいいかもしれない。
初恋が実った上に────凄く嬉しい事を言われたっ!
俺はティナを抱きしめると────ティナも抱きしめてくれる。
ティナの身長は170cmぐらいかな? 俺はたぶん150cmぐらいだ────その為、身長が足りなくて顔が胸に当たって顔がにやける。
ティナの顔を見上げると──頬を染めており、俺に笑顔を向けてくれる。
しばらく俺達は温もりを確かめ合うように抱きしめ合う。
神様ありがとうっ!
異世界1日目で死ぬかと思ったけど、俺──1日目なのに彼女が出来たよ!
っていうか嫁が出来たよっ!
俺は空に向けて祈る。
ムキムキの剣神様が親指を立てて、白い歯が光っている姿が見えた気がした。
だけど、この幸せな気持ちが──数日後────失われる……。
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