第10話 護衛任務と王女様

 ■side千夜


 翌朝。俺の家の前に黒のリムジンが止まっていた。おそらく皇帝か王女の差しがねだろう

 

すると中から二人の男女が表れた

一人は、初老の男性でオールバックの白髪、

右目にモノクルをし、燕尾服に身を包んだ人で、


 二人めは、腰まである美しい銀髪のロングヘアで、クリッとした蒼い瞳、スタイル抜群の美女だ


 「お待たせ致しました。私の名は、セバスチャン・エルザードと申します。セバスとお呼びして下さいませ神崎千夜様。」


 「フフフ。私の名前は、アリスリーゼ・フォン・ノアズアークと申します。以後お見知りおきよ、旦那様?」


 「ああ。わかったよ、セバス。それと旦那様とは気が早くないか?」


 「そうでしょうか?すでに私たちが将来結婚し夫婦になることは、決まっていることですし~何も問題はないと思いますが?」


 「はあぁ……そうかよ……さてと、そろそろ行きますか!」

  

 「ええ、そうですね!セバス?」


 「では、車にお乗りください」


 そう言ってセバスは、リムジンのドアを開けて俺たちを乗せる


 さてさて、どうなることやら


「なあ?少しいいか?」


 「はい、何でしょう?」


 「どうして俺を選んだんだ?他にも選択肢はあっただろう?」


 「そうですね。理由は、三つほどあります

まず一つは縁談がいやだったことです。」


 「俺との話しも一応縁談ってことになっていると思うが?」


 「フフ、そうですね。二つめは貴方の実績と力です」


 「俺の実績と力?」


 「この国に二人しか存在しない超越者【魔王】その力は、決闘によりわかりました。

さらに貴方は表の世界だけではなく裏の世界でも有名です。」


 「ああ、そうか?」


 「【死神】裏の世界では知らない人間などまずいないとされる最強の殺し屋……それが貴方です。違いますか?」


 「よくもまあそこまで調べたもんだな。」


 「ありがとうございます。貴方“多重能力者”ではなくて?」


 「はあぁ……まさかそこまで調べているのとわ……」


 「フフフ。ごくまれに複数の能力を宿す人間が存在します。それが貴方たち多重能力者です。多重能力は、世界中 の研究者がこぞって調べたがるほどのまさに未知の領域といっても過言ではありません。」


 「それで、俺をモルモットにするためにわざわざ婚約しようと?」


 「フフフ 、違います。貴方を敵にまわすことなど私たちにはできません」


 「“私たちには”ねぇ……」


 「ああ、もう!なんでそんなに疑うのでしょうか?少しは信用してくれてもいいと思います!?」


 「悪いなぁ、仕事柄信用なんてものはなかなかできなくてねぇ……」


 「もういいです……これからに期待します。三つめは、私が貴方のことが好きだから……です……!」


 「はあぁ!?俺そんな好かれるようなことしたっけ?」


 「はあぁ……ゆっぱり覚えていないんですね?」


 「……ああ、すまない」


 「まあ別にいいです……これから思い出していただければ」


 「教えてはくれないのか?」


 「はい、絶対に教えません……!!」


 「そうか……」


  「千夜様、お嬢様そろそろ到着でございます」


 空気が少し重たいなかセバスがそう言った


 「ええ、わかったわ。ありがとうセバス」


 「はあぁ……ようやくか~」


  王女様は全然こっちの方を見ようともしない。どうやら完全に嫌われてしまったようだ


 「これからどうするか~?」


 こうしてこの俺、神崎千夜の王女様の護衛任務が始まったのだ……

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