第8話 【時空の魔女】

 ■side千夜


 砂塵が舞う中に俺はいた


 「ッッ!!ヤッベェェ!!!やりすぎた!!!!!」


 俺の周りには何もなかった。

そう“何もなかった”のだ。

見渡す限り“無”周囲には更地の荒野が広がっている。


 「あ、あのーだ、誰かいませんかー……」


 ヤッベェェ!!!なんか思ったより蓮司が強くなってたから俺もそれなりに本気を出しちまった!気がついたときには手加減するのが難しくなっていて、それでも頑張って手加減したんだが……やっぱりやりすぎた……


 「っあぁぁぁ!!危なかった~間に合ってよかったよ~」


 後ろから聞き慣れた声が聞こえたので振り返ると


 「もう!!千夜やりすぎだよ!!!!」


 「ほんと。姉さんがいなかったら全員死んでたわ。」


 結月と夜空がそこにはいた


 「結月、夜空……」


 「まあ私の必殺スキルで全員異空間に避難させたから皆生きているよ~」


 「えっ!マジで……!!」


 「うん!マジで!」


 「そ、そうか~。よかった~」


 マジで安心したぜー。勢い余って消し飛ばしてしまったんじゃないかとヒヤヒヤしたぜ


 “あのときと同じように”


 「じゃあそろそろ皆をもどすよ~」


 「ああ。頼む結月」


 「お願いね。姉さん」


 「いくよ~《転移》!!」


 結月がそう言ってスキルを発動した瞬間

異空間から生徒たちが転送されてきた


 「ッッ!!なんだよ……これ……」


 「う、嘘……学園が……」


 とある男女の生徒が体を震えさせながら言った


 「みんなすまなかったな……!迷惑かけて……!!」


 俺は素直に謝罪した

 

 「まあ、千夜の必殺スキルは頭おかしいからね~」


 「そういえば」


 「ん?どうしたの夜空?」


 「何気に千夜が学園で必殺スキル使ったのはじめてじゃなかったっけ?」


 「ああ~。たしかにはじめてかもね~」


 「ああ。俺の必殺スキルは強力すぎるからな、使う機会がなかったんだよ」


 俺の必殺スキルの能力は相手の特殊能力を含めたステータスをそのまま自分に上乗せするというものだ


 「あれを使ったのは【覇王】と戦った以来だったはずだからな」


 まあ決着はつかなかったんだけどな

 

 「でもなんで必殺スキル使ったの?」


 「ああ。それは、蓮司が思ったより強くなってたからつい!」


  「つい!って……」


 「下手したらみんな死んでたのよ」


 「ッッ!!すまん……」


 「さてと、この勝負は千夜の勝ちでいいよね?」


 「ん?ああ。そうだな!」


 蓮司がそう言った


 「じゃあ今度は悠牙?」


 「んん……。どうする?」


 悠牙に聞くと


 「ッッ!!え、ええっと……やっやっぱりやめておくよ……まだ死にたくないし……」


 「そうか。」


 「うん……」


 「そういえば、いい加減に学園なおさない?そろそろ暗くなってきたし……」


 「ああ。そうだな、結月頼めるか?」


 「うん。いいよ~」


 「それじゃあ、よろしくね」


 「《全ての時空よ我に従え》〈ヨグ=ソトース〉!!!!」


 再び結月が必殺スキルを使用すると

学園が一瞬でもとに戻った

結月の必殺スキル〈ヨグ=ソトース〉は時間と空間を操るスキルだ。

このスキルを使えば世界中の時間を停止させたり、過去や未来の世界に行き来したりできる


 「さすがは【時空の魔女】ってところか」


結月の異名は【時空の魔女】その名のとおり

時間と空間を操る能力をもっている


 「それにしてもお前の能力チートすぎねーか?」


 「……。千夜にだけは言われたくない」


 「まあ、それもそうか」


 必殺スキルを使えば〈ヨグ=ソトース〉のスキルだってつかえるからなー


 「そろそろ帰ろ?」


 「ああ。いいぜ」


 「さんせーい!おなか空いた~!」


 そう言って家に向かって俺たちは歩き出した

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る