第11話ーまた、明日!
懐かしい、澄んだ空気の匂い。朝出かけて、今は夕方。1日にも満たないお出かけだったのに、なんだかすごく長い時間、森を離れていたような気がしました。
ドンちゃんのお家のある穴の近くで黒ドラちゃんは大きな声でドンちゃんを呼びました。朝とは違う穴から、ひょこっとドンちゃんが現れました。
「黒ドラちゃん!お帰り!」
「ドンちゃん!ただいま!」
黒ドラちゃんが抱えていたドンちゃん雪をドンちゃんに見せると、思った通りドンちゃんは飛び上がって目を真ん丸にして喜んでくれました。
「すごいね!すごいね!ありがとう、黒ドラちゃん!」
ドンちゃんが雪を受け取ると、ドンちゃん雪からゆっくりと雪が広がりました。
「あ、消えちゃう!食べなきゃ!」
そうでした、お口の中で溶けるんでしたっけ。黒ドラちゃんとドンちゃんは、広がっていく雪を一生懸命追いかけて、少しづつ口の中に入れました。
「冷たい!」
「冷たいね!」
黒ドラちゃんとドンちゃんのお口の中で、雪は溶けて水になりました。それはただの水のはずなのに、なぜかとても美味しく感じられました。
「美味しいねぇ、黒ドラちゃん」
「うん、美味しいねぇ」
ふと、ブランにも食べさせてあげたいなぁ、と黒ドラちゃんは思いました。あ、でもこれブランからもらったんだった。
「あのね、ブランがまた遊びに来てくれるって」
「本当?やったあ!今度はあたしも一緒に行くー!」
ドンちゃんは今日一日中お母さんにお願いしていたんですって。
「じゃあ、今度はドンちゃんを乗せていくね」
「うん!」
「あのね、この森からちょっと飛んだ所にきれいな白い花の咲く森があってね」
「うん」
「その森にも竜が住んでいるんだって」
「へー!会ってみたいな。ブランみたいに優しい?」
「あたしも会えなかったんだ。それでね、飛んでいたらブランが罠にぶつかって……」
「えっ!罠?空に罠があるの?!」
「うん、魔術師のゲルードって人間がね……」
黒ドラちゃんのおみやげ話はまだまだ続いています。でも、もう一番星が輝きはじめました。今日はこの辺でお休みしましょう。
ドンちゃんのお母さんが穴から顔を出して言いますよ。
「続きは明日にしなさい」って。
そう「また明日!」ね。
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