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「陛下、続きをお話する前に、彼女のことを紹介したく思うのですが……」
「それは私がやる! アンジェリカは黙っていろ!」
羽虫の羽音が
「彼女はマリアンナ・セベルトン。あのセベルトン子爵家の令嬢ですわ」
「マリアンナと申します。このような場でお目通りすることとなり、大変申し訳ありません」
「いや……其方ら一族には世話になっている。今回は表に出させて済まない」
「いえ……ペルセライ王国の為に動くのが我等一族の使命であり、誇りでありますので」
そう。彼女の一族は言わば国の影。この国で最も「国を」想う一族なのです。
王族、いや王太子なら当然顔も知っている筈ですし、それでなくとも家名で察すると思います、が……
「まさか殿下が私のことを知らなかったとは予想外でしたが」
そうなのですよね。
初めてお二人が顔を合わせた際私も偶然同席していたのですが、明らかに知っていて黙っている素振りではありませんでしたもの。
むしろ私に「あのような女であればお前にもまだ私から気にかけられる要素があったのだがな」などと仰る始末で。セベルトンのように、と仰るのかと伺ったら「はぁ? もっと可愛げを出せと言っているのだ。成績はいい癖に、察しの悪い女だな」とほざきやがりましてねぇ。
思わずお気に入りの扇子を軋ませてしまいましたわ。
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