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確かに≪解析≫は職人一族などが持つことが多いです。

そしてこの力は、使う技能に関係するもの……例えば鍛冶職人なら金属、針子なら布の真贋の見極めなどに関する者しか見抜けない、という制約があります。


では、ザラーク家の解析するものとは何か。

それは「人間」。

主に国に仕えるに値するか、裏切ってはいないか、ということを解析します。本来はもっと他に呼び方があるのでしょうが、我が国ではそう呼ばれていますの。

その力を持つに至った経緯は諸説ありますが、かつてザラーク家が多く学園や軍の教官を輩出していたことと無関係ではないと思っております。


それはともかく、我が家は国の為に人間を解析してまいりました。

しかしそれは、もしザラーク家が謀反を企てた際に協力者を集めやすいということと同義。

そしてその結束は強いことでしょう。元々そういうことを考えていた者だけで構成することが出来るのですから、王宮のどこよりも一枚岩です。故の婚姻。身内を王宮に差し出すことにより忠誠を誓うのです。

王家、もしくはザラーク家に生まれた子女はこのことを幼少のみぎりより言い含められて育ちます。

王太子ともあろう物……失礼、者が知らぬはずの無いこと。


ふと言葉を切って馬鹿を見やれば、納得できないという顔でした。

つまりこの馬鹿は、


真正の馬鹿だと言ってよろしいですわね。


「なんだと!?」

あら、声に出ておりましたか。相変わらずこういう声はよくお聞こえになりますのね。

嗚呼……そういう人だと分かっておりましたから、取り巻きの方々もあまり諫言しなかったのかしら。私に丸投げしたことは苛立っていますが、そう考えると労って差し上げたくなりますわね。

「僭越ながら申し上げます。アンジェリカ様、そのことは殿下との婚約を破棄してからでお願いいたします」

「それもそうね。ありがとうマリアンナ、話が逸れてしまうところだったわ」

「いえ。……陛下、横から口をはさんでしまい申し訳ありませんでした」

「……気にしておらぬから、必要なときは其方も発言せよ」

「はい。ご恩情に感謝します」


彼女のことも陛下に紹介しなくてはね。

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