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一名を除いて(彼は『連行』でしたので)移動いたしまして、今は王城の私的な応接室です。

「さて、話してもらいましょうか」

「はい、陛下。我が家の家名と誇りに誓い、一切の虚偽を話さないと誓います」

口調こそ臣下へ向けるものではあれど、陛下の顔色は悪い。

その顔色を青から白へ変えてしまうかもしれませんが、その時は殿下に苦情をお願いいたしますわ。陛下も、後ろに控える皆様方も。

「まず、私は……王太子ジャメル殿下に幼少の頃より蔑ろにされてきました。政略である以上、公の場以外で親しくする必要もないかと思い、放置しておりましたが」

お茶会には来ない、手紙の返事も碌に寄こさない。誕生日のプレゼントも毎回同じ花とカード……しかも筆跡が殿下の物ではない。数えるのも疲れます。

「そして、これは個人的な思いなのですが……王太子としてやるべきことで本腰を入れるのは国民へのアピールのみでいっらしゃいますね。それも大切なことですので、書類や近隣諸国への挨拶などは僭越ながら私の方でさせていただいておりました」

お陰で語学力は国一ですわ。嬉しくはありませんが。


「ですが学園入学後、あるお話を伺ったのです」


内容を聞いた陛下は顔を覆い溜息をおつきになり、馬鹿は『真実だろう?』というような大変頭にくる顔をしました。貴族として教育されてなかったらその阿呆面、異国のお菓子――確か名は茶巾でしたかしら――のようなお顔にしてましたわよ。

「ソレの何が可笑しいのだ? ≪解析≫など平民の能力だろうが!」

一度ならず二度もお言いになります?

私は扇の陰で嘆息し、十を過ぎた王族にするものではない、その上何回もした筈の説明を始めました。

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