第6話:栄光
私の計画は、着々と達成されています。
私の補助魔法で強化されたハインリヒは、目覚ましい速さでレベルを上げ、騎士団長どころか父上にも評価されるようになりました。
このまま強くなるようなら、刀鍛冶ではなく騎士に取立てようとまで口にするようになったので、毎日休むことなくレベル上げに励みました。
「ハインリヒ、この階層のボスを、支援魔法なしの単独で斃したら、従騎士の資格が得られます、気を引き締めて挑むのですよ」
「はい、ありがとうございます、アレッタお嬢様」
もう十分に準備はしました。
パーティーを組んでこの階層のボスを何度も斃し、ボス戦に慣れるとともに、最大に湧く時の数も確かめました。
その上で、下の階層でも戦いレベルを上げました。
ここから下の三階層までは、パーティー戦なら支援魔法なしで戦えるようにまでハインリヒを鍛えました。
この階層のボスは、支援魔法を使って斃せるのも確かめています。
いえ、昨日には、支援魔法なしでもボスを斃しています。
「では、騎士団長達が検分する前で、実際にボスを斃してもらいます。
従騎士を目指すハインリヒ、ボス部屋に入ってもらおうか」
ああ、愛しいハインリヒが危険なボス戦に挑みます。
いえ、従騎士資格試験を受けるのです。
心配で心配でじっと待っている事などできません。
もし騎士団長達がハインリヒに悪意を持っていたら、私の目が届かないボス部屋でハインリヒを殺すかもしれません。
「後見人の私もボス部屋に入らせてもらいます」
私の言葉に、三人の騎士団長達は迷惑そうな表情を浮かべますが、私の実力を知っている彼らは反対しません。
こういう時に反対させないように、十分に実力を見せつけていますからね。
心臓が口から飛び出しそうになるくらい、ドキドキします。
足が強張ってしまって、最初の一歩が踏み出せません。
自分の事では緊張した事などないのですが、ハインリヒの事になると不安と心配で押し潰されそうになってしまいます。
「試験開始」
私と護衛の戦闘侍女が二人、検分役の騎士団長三人に試験を受けるハインリヒ。
合計七人がボス部屋に入り、いよいよ試験が開始されました。
戦闘侍女の二人は、何かあった時には私を護らなかればいけないので、とても緊張していますが、それは三人の騎士団長も同じです。
彼らも私に何かあったら厳しい処分を受ける事でしょう。
だから彼らが私の参加を迷惑に思うのは当然なのです。
ですが、分かっていても、外で待っている事なんてできません。
「斃しました」
「よくやりました、ハインリヒ、七頭のボスを瞬殺した事、誠に見事です」
私は思わず騎士団長達を差し置いてほめてしまいました。
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