12話 振り出しに戻る
振り出しに戻る
「皆大丈夫かい?」
皐月の声に、皆が大丈夫と返す。
「うう、なんとか。大丈夫よ」
私も何とか返事する。すると、マーキュリーが周りを見渡しつつ、
「本当に、他の皆を文の基地に置いて来て良かったわ! こんなことになるなんて思いもしなかったもの」
塩水飲んじゃった、まあ命があるだけよかったわ。それはそうと、マーキュリーの言う通りね。ほかの人なら死んでたかも。
「す、すまない。誰か我を布団に連れて行ってくれないか?」
「あら、高と、いやサターンが疲労困憊ね。儂が連れていくわ」
「あ、ありがとうございます。ヴィーナス様。さっきのワームホールで力を使い過ぎて、へろヘろなんです」
「あ、それなら、私、ウィンディーネウォーターが案内します。あっちの部屋に、ベッド室がありますので」
「あ、あたしも、行く。寝たい」
「僕も少し疲れたよ」
「あたしも~」
と、雛、奈波、光も行ってしまった。残された私こと式と皐月、マーキュリー、文、飯野とムーン、残った魔法少女たちは、そのまま作戦会議を開始することにした。
「まず、なんで作戦がばれたのか調べないといけないわ」
「ああ、それは簡単だ、簡単すぎたんだ」
「え、どういう事かしら? 解りきっていたって事?」
「ある意味そうだね。作戦が簡単すぎて、その上で、効果的だから使ったんだけどね。それを逆手に取られたんだよ。相手は対ゲリラ戦慣れしているのか、または未来演算機にアクセスできるかなんだけど、それは……ってそうか、もしかすると、と言う事は、そっか、ならあり得るのか」
なんか文が一人で納得しているし、どういう事?
「ムーン、未来演算機に君もアクセスできる、と言うかサンと念話できるよね」
「サンでござるか? 可能でござるがそれがいかがしたか?」
「いや、恐らくなんだけど、私たちが未来演算機って呼んでいる者ってサンだと思うんだ。前に神奈が一緒に旅していた時も、未来演算してたって話なんだよ」
「成程、それで、マーズもこちらの作戦を呼んだという事にござるか?」
「……と思う。まあ、神奈にアクセスできない私では、ここまでの演算しかできないんだけどね」
「で、今からどうするのさ、このまま逃げるなんて許されないわよ」
たしかに、マーキュリーの言う通り、このまま逃げたら、魔法少女たちが途方に暮れるだろうし、このまま負けっぱなしと言うのも嫌だ、それに放っておいたら何をするか分からない連中だと思う。だから、
「作戦はあるのかしら?」
聞いてみた。どんな無茶な作戦だろうと乗る覚悟はある。
「その前に、儂の話を聞いてほしい」
ん? この声は、ヴィーナス?
「どうしたのかしら? 今必要な情報なの?」
「ええ、敵の正体についてよ。儂の頃から変わっていると思っていたから、言わなかったんだけど、変わっていない。そう判断して、伝えるわ。敵は、信長よ」
「え?」
皆に沈黙が流れる。どういう事?
「詳しく言うと、マーズの称号を得ているのは、信長公、彼女とみていいわ」
「ちょ、一か月前にあった、マーズは、お爺さんっぽかったわよ。そんな彼女と言われる姿ではなかったわ」
「え、じゃあ、違うのかしら? でも、戦法と言うか、戦術が信長公っぽかったんだけどね。まあ確かに、信長公はツインテールの赤髪、歌舞いた服装で、お人形のような人だったから、違う人かもしれないわね」
「たしか、アミを操ったりできていたから、操ることに長けた人なのかもしれないわ」
「アミって、たしか鬼の要素を持ち合わせていたわね? じゃあ、特徴も一致するわ。彼女の生前能力は、魔の者の操る力だったから。姿を変えたとか?」
まあ、あり得るかな? 見た目なんて、エステ屋さんに行けば変えられる世の中だし。
「本当にそうなら、勝てる気がしないんだけど」
「そんなことないわよ。信長公は負け戦多いし。それに結末を知っているなら、弱点も見えてる。火攻め……、あっそうか、いま彼女は、マーズ、つまり、火星だったわね。ミスったわ」
「えええー」
「なら、計算外だろうって行動をするのはどうかしら?」
「どういう行動なら計算外かな? と言うか、計算外の行動でうまく相手の作戦を破れるのかい?」
「多分、いける。と思うわ。で、その作戦っていうのは、もう一度、正面から、攻めるだけなんだけどね」
? ? ? 何言ってんだろう。この人は。
「いや、そんな事したら、また待ち伏せされるだけなんじゃ?」
「その可能性もあるけど、逆に考えると相手は油断しているはずなんだよ。けど警戒はするよ。皐月、ソナーに敵潜水艦って映ったのかな?」
「30秒前にソナーの範囲内にいきなり現れていたよ。多分異世界からの転移で、現れたんだと思う。だから、潜水艦からの攻撃で合っているよ」
「なら、同じ手を使わせない方法が私にはあるわ」
お? マーキュリーが自信満々ね。
「ならその作戦で行こう。で、皐月は対潜行動を任せるよ」
「了解だよ」
「それじゃあ、もう一回行くよ!」
「おー!」
って何かやれそうな雰囲気出しているけど、行ける気がしないんだけど……。
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