2話 皐月とお婆ちゃん
皐月とお婆ちゃん
「あ、お婆ちゃん。こんにちは。お孫さんはどこに行ったのか分かったのかい」
「ん? おや、あの時の子じゃないかい。あの時はありがとうね。おかげで、孫娘の家までは行けたのよ。でもね。うちの子に聞いたら、家出ではなかったのよ、旅に出たって行ってたわ。もう出て行ってしまってて、どうしたのかしら? 奈波ちゃんそんな子じゃなかったのに……」
「んん? 奈波の事かい?」
「おや、知っているのかい?」
「えっと、犬飼 奈波だよね」
「やっぱり! 何処で会ったんだい?」
「え……っと、旅先で会ったんだ、でも一回ここによるって言っていたよ」
「たしかに、戻ってきていたみたいなんだけどね。婆の入院中に、またどこかに行ってしまったみたいでねぇ」
「ええ! 大丈夫かいお婆ちゃん。でも、うん、近いうちに来ると思うよ。一緒に旅している人に話を聞いたから確かだよ」
「! ありがとうね。じゃあ、見かけたら、ここに電話するように言ってね。もし、嫌がったら、あなたがここに居たって電話してくれてもいいかしら?」
「うん、分かったよ」
おや、さっきまで、公園で子供の相手をしていた式が、戻ってきたよ。
「皐月、何話し込んでいるのかしら?」
「えっと、奈波たちの話をしていたんだ。こちらは、奈波のお婆ちゃんなんだ」
「へー。奈波たちはもう来ているみたいよ。証拠にあそこほら」
ん? 海に軍艦があるよ。でもなんで、
「あれは、本当に、マーキュリーの艦隊かい?」
なんで、マーキュリーの艦隊だと思うんだろう? 確かに、奈波たちと旅している、マーキュリーは艦隊を持っているけど、本人の物か分からないんじゃ?
「ええ、あれは、間違いなく、マーキュリーの艦隊よ。機工に連絡も入っているからね」
「それなら安心して迎えに行けそうだね。お婆ちゃん。どうやら、式の言うとおり、奈波たちはここに入港するみたいだよ」
「ああ、ありがとうね、じゃあ行ってみるわ。そういえば、奈波ちゃんのそっくりさんが、ここでライブしていたのだけど、あれは本当に奈波ちゃんではないのよね?」
「うん、奈波は、今日ここに来たから、違うと思うよ。じゃあ、気を付けてね」
お婆ちゃんが電動籠に乗りながら行ったよ。見送りが終わって、少し、おにぎりを食べていると、
「やあやあ、お嬢さん。おにぎり一つ下さいな」
「うん、いいよ。って僕より幼く見える……あれ皐文かい?」
「すぐばれたね。で、ちょっと打ち合わせに来たんだ」
僕の作った豚骨煮卵握りを持って、手の中でキャッチボールしているよ。いや食べなよ。
「ん、打ち合わせって何だい? 次の戦いの話なら、僕だけでなく、皆でした方が」
「うーん、話的にはそれなんだけど、もっと限定的というか、細かい話を詰めておきたいんだ」
「どういう事?」
「簡単に言うと、海上封鎖と制空権の確保を君とマーキュリーで行ってほしいって話をしたいんだ。もちろん、マーキュリーには話を通しているよ」
「もちろんいいよ。それで、細かい話って何だい?」
「おそらくなんだけど、君の力で、対空能力の範囲を絞ったり、敵に限定したりできるはずなんだ」
「え、そうなのかい?」
「少しそれの訓練をしたいのと、その攻撃の位置を打ち合わせておきたいんだ」
「分かったよ、と言うか、なんでこの時間にこっちにいるのかな?」
「僕は、世界移動を夜に限定していたけど、今回は特別に来たんだ。なんでって? まあ今回の作戦は大掛かりだから、色々話合いが必要なんだよ。けど、アミはやっぱり夜じゃないとこっちの世界では動けないからね」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます