4話 転移先強制変更

転移先強制変更




かなり重い(というか持てない)15cmぐらいの人形を、紙を見た奈波が私に、戦車ではこばせて、マーキュリーの工作艦がクレーンで回収している。それを見ていてもしょうがない。そう思って、私たちは6の世界に行こうと決定した。


「じゃあ、転移するわよ」


「うん」


「い、いいよ」


「ちょいまち! あんたら、ウエアはんはどうしたん!」


ああ、やっぱり礼華が来たわね、たしかに話す必要はあるわ。


「落ち着いて聞いて、礼華、ウエアは私たちが間に合わなくて、死んだわ。本当にごめんなさい」


つぅーっと礼華の頬に涙が通る。けど、大泣きや泣き崩れるわけでもなく、


「そうか、分かったわ、ごめんな、言いにくかったと思うわ」


「え、怒らないの? それにごめんってなんでよ! 私たちは助けられなかったのよ!」


「いや、それはそうやねんけど、一人では長時間は生きられへんやろうなとは思っとってん。やからこそあんたらに助けを求めていたんやけど、やからこそ、言いにくいこと言わせてしまってごめんや。それにうちとチビたちは助かったんや。ありがとうな」


嘘ついているのがいたたまれないわ。どうしてこんな嘘つかなきゃいけないのよ。


「ごめんね、ありがとう。じゃあ私たち行くわ」


「ああ、それに、加害者が一番悪い。守る守れなかったと言ってくれるのはいい人や。だからこそあんたらを憎むのはお門違いや、だからあんたらは憎まへん」


「ありがとうね」


礼華は行ったわね。さあ私たちも、

転移陣を書いて転移を開始。しかし、


「エラー、エラー、転移先を強制変更されました。移動先は■■。移動先は■■。お気を付けください」


「何これ!」


「解んないよ!」


「な、なんで、かな、場所名が、聞き取れ、ない!」


こうして私たちは知らない場所に飛ばされた。




「ここ何処? 何時間寝てたのかしら?」


「私たちに応える権利はありません」


二人の紀光らしき人物に聞いてみても、ダメみたい。二人の姿も見当たらないしなんか連行されているしどうしたものかしら? ん? なんか中庭の着いたわ。そこに多人数が集められていて、


「あ、し、式だ。だ、大丈夫?」


あ、なんかキツネも一緒にいる。


「雛じゃない。こんな簡単に会えるとは思わなかったわ。そっちこそ大丈夫? 私は何もされてないけど」


「あ、あたしは、大気中の魔力を分解して、せ、洗脳部分だけを落としているから問題ない……よ」


「何それすご! って洗脳? そんなものが大気中に?」


「う、うん」


「じゃあ、此処にいる人たち皆、洗脳されているって事よね?」


「そ、そうなるね」


「まずいんじゃ……。みんなを正気に!」


「む、無理だよ。だ、だって、皆の防衛機能も貫通しているから、洗脳はほぼ完了しているみたい……だよ」


「そうだよ、式。この国がすべてを握るのにふさわしいんだ。だから、皆でこの国のために死のう」


あ、皐月じゃない! ってなんか変なこと言っているし!


「皐月? 何言っているのよ。って貴女もしかして、洗脳されちゃった!?」


「そうじゃないよ、僕は、あの方に陶酔しているだけだよ」


あっ、洗脳されているわね。ど、どうしたものかしら。ここで声をあげたところで、殺されるのが関の山ね。ここはこっそり離脱かしら。


「り、離脱、するべきかな」


「そうね。逃げましょう」


「ん? どうしたんだい? 二人とも」


「ごめん皐月! 必ず助けに来るから!」


機工内で滑走しておいてくれた、雛の戦闘機が出てきて、私たちを乗せ、空へ飛びだした。あ、キツネも乗ってきたわ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る