3話 戦闘後の話し合い

戦闘後の話し合い




「ありがとうございます。あなた方のおかげで、私に正気が戻りました」


ウエアが座って頭を下げているわ。これがDOGEZAってやつかしら。


「いや、私たちは何もしてないわよ。やってくれたのは、アミよ」


「そうなのですか? アミ、ありがとうございます。それと、出来ればでいいのですが、私の生存を赤槍の皆さんには黙っていていただけませんか?」


「赤槍?」


「ああ、名乗ってませんでしたね。私たちの組織の名前です」


「へー。でもなんで?」


「それは、仲間にこんな姿を見せたくないというのもありますが、さっきから食人衝動を抑えられそうにないのです。なのでどうかお願いします。有事の際には駆けつけると約束しましょう」


「分かったわ」


「ああ、後、これをあなたにあげます。武工です」


「これは、貴女の武工でしょ? 受け取れないわ」


確かにうれしい提案だけど、それだと、ウエアが自身を守れないわ。


「いいのです。私には骨の剣の方が今は使いやすい。なので、どうか受け取ってください」


「……ありがとう。使わせてもらうわ」


「では、私は隠れます。お気をつけて」


消えた。素早い移動? 転移? どちらかしら? あれ、皐月たちがこっちに来たわね、でも見たことない人もいるわね。


「助かったよ。ありがとう」


皐文が、皆に頭を下げている。いや、


「いいわよ。貴女たちのおかげで、助けが間に合ったんだし」


そう、彼女たちが先に戦ってくれていたから、私たちは間に合ったのよ。だから、此方もお礼を、


「それより、珠樹さんに合わせてよ~!」


なんか、光のその言葉を聞いた瞬間に気まずそうな顔をしているわね。


「それなんだけど、御免! 珠樹をこっちの世界に来てもらうには、やっぱり、エルピスの助けが必要なんだ」


「成程、何もない世界に入れられたのでござるな。ならば、サンを除いたすべてのエルピスがそろえば、元に戻すことができるでござるな」


へー、そんなことになっているのね。何もない世界っていうのもあったのね。ん? 何故か、アミがムーンをじっと見ているわね。あ、そうか、誰か分からないからかしら?


「拙者はムーン・エルピスでござる。宜しくお頼み申す」


あ、私の視線に気づいたみたい。


「私は、アミ、アミ・ホーネットだよ。よろしく」


「じゃあ話を戻すけど、私たちが、そっちの世界に行くっていうのは?」


え、そこまでして会いたいの? 奈波と光は! 


「良いのだけれども、でもそれだと、あっちの世界にいる人全員、後2年ぐらいかしらで消えるわよ」


え、それって、あの軍服の人の言うとおりなら、奈波たちが頑張らないと、その人たち死んじゃうって事だよね。


「え、そうなのかい? けど、確かにあり得るのか」


って、皐文知らなかったんかーい。思わず言いそうになるけど、我慢我慢。みんな真面目に話してるのに、ここで突っ込んだら負けよ。


「ちょ、どういう事なのかな、もしかして私たちも消える可能性があるって事?」


え、アミは危惧しなきゃいけない場所にいるのかしら? アミが言ったって事は、アミも一緒に来ているってこと? そういえばいつも神出鬼没だよね、皐文たちって? つまり、その世界から、アミと皐文は渡って来ているって事なのかしら?


「あそこの世界は、消去前のデータが集まる場所なのよ。だから、定期的にデータを消されるのよ」


「じゃ、じゃあ僕たち頑張らないといけないんだ!」


と奈波が驚いているわね。まあ無理もないわ。探している人の命運を握っているんだもの。


「そして、紀光も、メインサーバーともいえる神奈は、何もない世界にいるんだ」


っとここで、紀光の情報が来るのね。


「他の紀光は?」


「生きていて、敵でないのは、陽、夜永、文、弥生、令華だね。後は全滅か、ゴトについて、消息不明かだね。まあ令華は少し疑わしい動きをしているから要注意だね」


へーあれ? 希和は生きてない? そう皐月も思ったみたいで、


「ちょっと待って、希和は、希和は死んでいるのかい?」


「最後のログまで確認してないから分からないけど、多分死んでると思う」


「そんな!」


皐月は生存を信じてここまで来たのに、そんなのって……。


「この流れで悪いんだが、自分の話を聞いてくれ。まずこれからどうするかだ。自分は、できれば機械世界の実権を握ったという、円卓機工を討伐したい」


「何でそう思うのよ」


ホント空気読んで、皐月泣いているのよ! そう言いたかったけど、円卓機工は私も潰したい。だからそこまでは言わなかった。


「簡単な話だ。あいつらは、エルピスと太陽神だからだ。だが今戦っても勝てる見込みは少ない。だから、丁度一か月、一か月後に此処にいる皆で攻め込もう」


「うん、僕はいいよ。師匠の事だから、何か考えがあるんだよね」


「ああ、未来演算機が出していた結果によると、その時になると、総力を上げて、魔法世界と戦争を始める。そこが狙いめだな」


「成程、その兵が少ない隙に、攻撃するのね。で、戻ってきたところをどうするのよ?」


「そこは、奈波君たちの出番だ。姿を隠して、周りの敵を暗殺、ショートカットを使って、接近捕縛して逃げる。それでいいと思うがどうだ?」


「そんな作戦で行けるのかしら?」


「いや、作戦は今から考える。未来演算機と、紀光と話し合ってな」


「乗ってやろうじゃない。で私たちは一か月の間に私は、太陽神を一人仲間にしておくわ」


「なら、最良世界の太陽神を仲間にしておいてくれ。ただ、最良世界は、15日後に攻められる。だから、時間制限付きになるな」


「いいわよ。頑張ってやって見せるわ」


すると、さっきから目を合わせたがらない、アミに向いて、男は、


「で、皐文は参戦するとして、君はどうする?」


「私は参戦するよ。恨みもあるし、それに、私は生きたい」


「わかった。では、次は一か月後だ」


皐文がそれを聞いた瞬間転移していった。その場に何か紙を残して。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る