12話 開戦の言葉
開戦の言葉
「いないわ! 皆に通信端末持っていないか、聞いているうちに、追っかけている反応は遠くに行っているし、どうなっているのよ! それが一回ならいいけど、もう昨日一日探してもこれよ!」
そう、昨日門限ぎりぎりまで探しても見つからないのよ。その場からこそこそと逃げる人も全部声をかけたのに! なんでよ。
「け、けど、見落としは、な、無いよ」
「そうよね。私たち皆に声かけたもの」
「そうだね。まあ、今日も探すしかないよね」
「そうなのよね」
そう、メアリーも飯野探しは、根を上げてしまったわ。見つけれない。それが彼女の言葉だった。代わりに、兎は見つかった。一人で私たちの捜索している街にいる。それが見解。そして、太陽神は、インド洋の何処かに、まだ、エルピスと共に封印されているらしいわ。
「そういえば、皐月、兎には会えたのかしら?」
「うん、誰を探しているのと聞かれて、えーっとって思い出そうとしていると、風のように消えちゃった」
「うーん。なるほどね。よくわからないわね」
「僕もよく解らないよ、とりあえず、今日の居場所を見てみたら?」
「ええ」
地図を見ながら、歩いていると、反応がこちらにまっすぐ突っ込んできているのが分かったわ。
「って、10秒後に接触できそうね」
「なんで?」
「こっちに来ているわ!」
私は空をにらむ、反応の高度が少しあるから。そして接触。見たことない女の子2人だった。ってか神話上の生物のペガサスに乗っている? 何この子たちそれに私の追っていたのって男の人じゃなかったっけ?
「師匠を付け回しているのって、君たちかな?」
「え、師匠? えっと、飯野って人の事をさしているのなら、そうね。でも危害を加えるつもりはないわよ」
「そうなのかい? と言いたいところだけど、これだけ執拗に付け回されていると、敵かと思うよね! それに、兎が行方不明になったのも君たちが原因だよね!」
そんなものなの? って、兎が行方不明? ん? 何か空に投げたわね。卵? それが何かに変化したかのように落ちてくる。何? 鳥……かしら? それにしては、体が透けているようにも見えるし、
「なんで戦闘になっているんだい? でも2人なら倒せそうだね」
「そうね」
「とは限らないよ」
後からの声、この声は、
「あら、すでに戦闘態勢ね。雛」
「そだよ。そして、敵は隠れて攻撃してきているのがいるよ」
「へ? まだ攻撃なんて」
その言葉に、皐月が、
「いや、攻撃来ているよ。ほら、あそこの壁、異様にえぐれている。多分動くなってことだよ」
「じゃあ戦うしかないね」
「いや、話し合いで」
話し終わる前に、雛が飛び出していった。これもう戦闘するしかないじゃない!
「ああ、もう! しょうがない! 皐月も行くわよ! 真井は何とか見えない攻撃を止める方法ない?」
「人海戦術を使うわ。私のコピーを大量に出すわよ。これで敵の位置を探れるかも」
「分かったわ。お願いね」
増えていく真井、確かにこのコピーが消された場合、その元の方向に、敵は居そうね。でも、
「痛くはないのかしら?」
「幾分か痛いわよ。でも背に腹は代えられないわ」
いつの間にか、敵の二人は降りてきていて、皐月と雛と闘っている。皐月の周りに機銃があるから、対空射撃を行ったみたいね。
「ほんっと、3人目が全然捕捉できないわ。どうなっているのよ!」
「! 捕捉したわよ。式! 敵はまっすぐ、機銃に向かって走っているわ。機銃を護衛して!」
「了解!」
機銃に向かって走る。たしかに、真井たちを押しのけて走る影がある。うん、私のほうが、阻害する人がいない分、早く着く! そして立ちはだかり、顔を見る! その顔は印象に残らないような顔だった。というか今視線を外したらまた忘れてしまう。そんな予感すらする、気配のなさね。
「あなた、もしかして、ただ気配が薄いだけかしら?」
「その通りだ。誰も自分の事を覚えてられない。自分が許した人間を除いてな」
「冷静ね。で話し合いで何とかならないかしら?」
「いや、先に追い回してきたのは君たちだ。それに、兎の件もある。理由を話してもらわないとな。そして君たちが信用に足る人物なのかを調べないと」
「まあ、そっちの言い分も分かるけど、何で戦わないといけないのよ。それに、こっちのは言い分も聞いてもらわないと」
そう言いつつも、気配の希薄な男は軍刀で斬りつけてくる。結構強いわね。何とか苦無で防いでいるけど……。
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