4話 雷切
雷切
「とりあえず逃げれたけど、これからどうしようかしら?」
最初は線路を進んでいたのだけれども、踏切を発見。そのうち電車も来るだろうという判断もあって、車道に出て、戦車を走らせていた。
「で、ここの分かれ道は左でいいのかしら?」
「うん、合っているよ。それにしても、戦車で移動しているのに、さっきの人たち来ないね」
「さっきのって、ゴトって人の事?」
「ううん、違うよ。さっきの警備隊の人たちの事だよ。機工は、魔力を使って展開するから、追われるかなっと思っていたんだけど、全然来ないね」
確かにね、警備隊の人たちには、魔力を使うなとは言われていたけど、でも緊急事態だったし、それに、
「魔力は起動時に使うだけだから、追いかけようが無いのかもしれないわね」
うーんと皐月が悩む。そして頷きながら、
「確かにそうだね。っとそろそろ港に着くよ」
私は戦車の視察口から、皐月はコマンダーキューポラから外を見ていた。先ほどやっと平坦な道に出て安心していたため、もう安心だよねと感じ、自動運転に切り替えた。しかし、美智の真ん中に人がぽつりと立っている。
「……何だろうあれ?」
「何かしら。微動だにしていないわね。とりあえず、無視して、町に入るわよ」
仁王立ちしている男の隣を通り過ぎようと、戦車を走らせているけど、少しの衝撃があった後、戦車が動かなくなった。
「何事よ!」
「仁王立ちしていた男が、刀を戦車に突き刺したよ!。けど、動力をやられた訳でも無いのに止まるなんて!」
「とりあえず、降りるわよ!」
「りょ、了解!」
先ず、皐月が飛び降りて、その後に続いて、私もハッチから飛び出す。そして機工を構え、
「機工収納」
あれ、戦車が機工内に収納されない!
「嘘、なんで!」
「おそらく、あの男の刀gあ原因だろうね」
いつの間にか、男は刀を納刀していて、此方を見ている。前髪で目が見えて無さそうなもじゃもじゃの髪の少年だ。いや、目が見えてないから、此方を睨んでいるかはわからないけどね。その青年は納刀したまま此方に向かってくる! 此方を斬ろうとしているのが威迫で分かる。私は、機工を取り出して、って中に何にも入ってないわ! じゃあ苦無を構えないと! 隣では、皐月が斧を構えているみたい。接敵まで、あと二メートル。少年は抜刀、斬り上げる。私は右へと跳び上がりながら、苦無で、刀の勢いを生かし、跳び上がる。木を蹴り、跳びかかる。しかしそれも、刀を振り下ろされて、つばぜり合いになる。てか、強い! こちとら突進しているのよ! なのにその勢いごと押し殺される。後ろに跳び、苦無を投げつける。殺った! そう思ったのだけれども、それを目に見えないほどの速さで回避。何よあの速さ! 後ろに後ろで皐月が斧を振り下ろす音が……って真後ろ! こわ!
「貴方なんのつもりよ! なんで私たちに襲い掛かってくるのよ!」
「我が主に仇なす者、滅すべし」
「貴方の主って誰よ! 私たち何もしてないわよ!」
「貴様等は遭ったはずだ。列車でな」
にらみ合いが続く。私は苦無に付いている、紐を引っ張り、手元へと少しづつ戻している。敵との間に皐月が入ってくれていて、私を守る態勢を取ってくれている。
「成程、ゴトね」
「様を付けろおぉぉぉ!」
キレた! なんで? 私たちに向かい突進してくるわ。苦無回収機械の急ぎボタンを押して、巻取りを早める。その間、皐月は斧を振り上げ、接近を待っている。しかし、
「な、僕は無視か!」
脇を通るように走っていく。少し目が慣れて、見えるけど、ギリギリ見えるレベルね。止めようと皐月が斧を振り下ろしたけど、簡単に回避。やっぱり私が狙いの様ね。苦無はもう手の中にある。なら!
「主を呼び捨てにするなぁああああああ!」
「ちょっと! そっちが先に襲い掛かってきたんでしょ! そりゃあ、呼び捨てにもしたくなるわよ」
「そんな事知らん、貴様らは殺すなと言われているが、腕の二本や三本、斬り落としても問題あるまい!」
刀を振り上げる。苦無でガードはしたけど、後方に押し飛ばされた。その際に苦無も敵の後ろの方に飛んでいく。力も強い! 手がしびれる。私たちじゃ敵わない。そんな言葉が脳裏によぎる。でも何とか逃げないと! もっと後ろへと跳び、間合いを取らないと!
「私、腕は2本なんだけど!」
「貴様ら合わせて4本あるだろう」
「ああ、そう!」
思ったより早く追いつかれた。ガードすることもできない! せめてもの抵抗にと手を敵に向かって伸ばす。
「いったあぁあああああ! う、腕が!」
差し出した左腕じゃなく、右腕が斬り落とされた! もうダメかも。
「苦無を巻き取って!」
なんで? という気持ちより、藁にもすがるような気持ちで斬られた右手に付いている、巻取りボタンを押す。右手をしっかりと持ち巻取りが開始された。いつもだと自分の方に苦無が飛んでくるはずが、今回は、
「引っ張られる!」
すごい勢いで、敵の前を遠ざかり、近くの木に巻き付いていた、ワイヤーの先にある。苦無の元に移動した。そして、今までいた所に弾丸の雨が注がれた。弾の出どころを見ると、そこには、機銃を操作している、皐月の姿が有った。
「あ、やば、出血量が……」
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