雪音

振り返ると雪音さんがいた。あまり話したことのないので再び慌てふためいた。

「…なに読んでるの」

「…これだけど。読んでみる。」

私は恥ずかしかった。好きな本を紹介するのもそうだし、なんなら話すのも恥ずかしい。…後で姉を呪ってやる。

「あっこれ読んだ…確かね主人公が…」

「ちょっと言わないでよ。まだ読んでいないから。」

「冗談よ。それにしても…普段からあまり話したことなかったから知れてよかったな。それにしても洋服どこで買ったの。」

「…近所の店かな。」

「似合ってる可愛い。」

「…あっとえっ。ありがとう。」

言われ慣れない言葉に戸惑う。そうだ私は外見だけは変わってしまったんだ。なら今だけは暗示をしよう。

「ねえどんな本借りたの。」

普段雪音さんは学校で本を良く読んでいる。だから少しだけ気になる好奇心と仲良くするために聞き出したい。

「え私…歴史かな。」

持っている本はまあ堅苦しそうな本があった。…これを良く読んでいるの。でもなんか仲良く慣れそうな感じがした。

「ねえ伴音さんの本貸してくれない。…なんかそんなジャンルの本読みたいからさ。なんなら私の本も貸すから。」

「じゃあ明日ね。」

そう図書館を後にしたが、一つだけモヤがかかっている。これでいいのかな。




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