可愛い妹

伴音

「あ、よく寝た。」

違和感を感じた。まず肩が重い。それに声が明らかに高い。あと髪も背中まである。

「…うんとなんだろうな。」

目を覚ますため洗面所に行った。最初は鏡なんて見てなかったけど、顔を洗って気がついた。…何にこの可愛らしい女の子。…は、幻覚を見せる薬か。あっけなく姉貴の策にハマるとこだった。しかし妙だ。手をあげると鏡も同じ動作をする。…俺は怒った。

「おいくそ姉貴。なんじゃこりゃ。」

「あら起きたのていうかなんで私よりもずっと可愛いのよ。怒るわよ。」

逆ギレしていた。どこで怒ってるのか。どうでも良くない。

「怒りたいのはこっちだわ。なに薬飲んで性別変えられたんだけど。なんか大切な物うしなったよ。」

「でもいいじゃない。これからは小説買う時女の子だから自然にしててもいんだよ。」

「そんなことに薬作る労力割いてるんじゃない。」

手が飛んできた。ふふ愚か。私が力そのまんまにしているとでも。

「ぐ、何で手で止められてるの。」

「さあ無駄な取っ組み合いの喧嘩していいけど分かるよね。私の方が強いよ。」

「治してください。お願いします。」

俺は初めて姉貴に頭を心から下げた。だってこのまま生きるのは嫌だから。

「そうね、じゃあ私を雨音お姉ちゃんて呼ぶこと。」

「……お姉ちゃん治してよ。」

「可愛い。もうそれでいいか。ねえ本当に伴樹なの。生憎とあの薬品はいつ切れるか分からないから記憶消化剤を使っているんだ。」

「はい、そんなの聞いてないぞ。」

「うん今言ったから。そんでね名前なんだけど伴音ていう名前でいいよね。」


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