第2話

 そうやって、何年も何十年も川を眺めて楽しんでいた、ある日。


 川岸に、工事の業者さんが入ってきた。看板が立て掛けられる。


 どうやら、河川保護工事と護岸工事が始まるらしい。


 ついに、この川を眺める日々とも、お別れが来るみたい。


 かなしい。


 でも。


 河川保護工事がなされれば、夜に川へ入ろうとする人も減るだろうし、深みにはまることもなくなる。

 護岸工事が行われれば、村は氾濫の危険から守られる。

 それらは、とてもよいことだった。


 幽霊である自分だけが、消える。骨の埋まっている部分も、掘り返されるだろう。


 幽霊としての自分は、そこで終わってしまう。


 せつなかった。


 でも、しかたない。


 幽霊だから。

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