第8話 改造と隠蔽

銀河暦468年7月16日

リラソス宇宙港第7乾ドック


ダランおじさん達が機関や兵装を換装してくれている中、自分達は教官達から隠し通さなければならない。

特に、兵装の重力子レーザーの搭載はバレたら大問題だ。機関に関してはまだ言い訳が立つが、搭載兵器の追加搭載はどうしようもない。

そう思案しながら各部の換装を視察していると、ハルムが駆けてきた。

「エイン!教官のお出ましだぞ!」

「分かった!今行くから先行っといてくれ!あと艦橋士官全員を集めてくれ!」

「了解!」

さて、どれだけ隠せるか勝負所だ。



「この練7艦隊の指導教官となったヴァイン大佐だ。気軽に名前で呼んでもらって構わない。さて、報告にあった機関不良について報告を聞こうか」

自分達が艦橋に戻ると、すでに教官は到着していたようで、艦橋要員に機関不良について質問していた。

「練7艦隊司令を担当していますエイン・アルフォートです。よろしくお願いします」

「ヴァインだ。自分はあくまで訓練航海中は基本的に観戦武官としての立ち位置になる。余程の緊急事態にならない限り口出しはしない。

…まぁ現状すでに不足の事態が起きているのだが。機関トラブルの報告書はあるか?」

「こちらにあります。出港2日後に異音が発生し始め、3日目には何回か停止しました。今オーバーホールしている製造会社の方の話によると、機関不良と耐久年数の問題だそうです」

「…そうか。出港は何日後になりそうだ?」

「オーバーホールなので2日後になるそうです。なんにも部品の交換とエンジン基部の取り替えが必要だそうで。他艦隊とは1日の遅れになる予定です」

「了解した。練習艦隊司令部には俺から伝えておく」

そう言うと、ヴァイン教官は各科の見回りに行っていった。


「バレるかと思ったぜ」

「まぁ機関の取り替えはオーバーホールと手順は対して変わらないから、多分問題ないと思うぞ。

…それより問題は重力子レーザーの配線工事と、機関からフィールドエネルギーへの配線工事だな」

「熱核放射エンジンだったら触らないところだもんな」

「まぁ教官が来るまでにフィールドの配線自体は終わってるし、重力子レーザーの配線工事は今機関の換装と並行でやってるらしいからなんとかなるだろ。問題は試運転時にエネルギーを通して、微調整しなきゃ行けないことくらいだな」

「どうするんだ?試運転時は多分教官も艦橋ブリッジに上がってくるぜ?」

「そこはうまいこと騙さなければいけないポイントだな」

こうして俺らは教官を騙しながら密かに、練習艦を軽巡洋艦へと改装していく。



「…はい。出港は2日後になるとのことです。現状異常は見受けられません」

『了解した。また何かあれば報告したまえ』

「了解いたしました、アドラブ准将。では失礼します。通信終わり」

ヴァインは上官であるヴァインに報告しながら思案する。

(たしかに報告は筋が通っていたし、何か特段以上があったわけではない。がしかし、何かが引っかかる。まず何故こんなにも早く製造会社が修理に来た?…これは注意してみる必要があるな)



エイン達は無事に換装を終えることが出来るのであろうか。

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