第6話 訓練航海 〜出港〜

銀河暦468年7月5日

シャーリア宇宙港


ついに訓練航海の日がやって来てしまった。これから約1ヶ月の間、自分達は宇宙船の中で共同生活を行うことになる。

今は自分達の乗る練習艦に物資の積み込みをしているところだ。

するとハルムが搭載口から顔を出してきた。

「エイン!私物の積み込み終わったぞ!」

「分かった!艦橋士官ブリッジオフィサーと艦橋要員は作戦会議室に集合する様に伝えて!」



練習第7艦隊作戦会議室


艦橋士官5人と軍学校の艦橋要員40人が集まった中、エインが口を開く。

「さてみんな、各科の報告から聞こうか」

「燃料、物資の搬入完了しています」

「乗員、全員乗艦しました」

「航海科、配置完了しています」

各艦橋要員が報告をしてくる。

「ご苦労、まず軽く自己紹介だけ。自分がこの練7艦隊の司令になったエイン・アルフォートだ。この艦隊の指揮を取ることになった。よろしく頼む」

「「「「よろしくお願いします!」」」」

「そんな気は張らなくて良いからね。気軽に話してほしい。一応士官の紹介だけしておくね。右からハルム、セレス、シス、ミルだ。それぞれ砲雷科、戦術科、通信科、主計科各科につくことになる。覚えておくように」

「「「「よろしく」」」」

「…さて、まず君たちは今回の訓練航海についてどう思う?誰でも良い。言ってみてくれ」

「明らかに時期が早いですね」

「その通りだセレス。これは多分多分連合との小競り合いが影響している。ここ最近かなり激化しているらしい」

「エインの言ってたはそれだったんだな」

「それだけじゃないぞハルム。どうやら帝国は俺ら練習艦隊200隻をシャーリア星系の警備に使うつもりだ。と言うことは…」

「当然シャーリアに帝国が来る可能性もあると言うことですね!」

「そう言うことだ。そこで、4人には伝えたが、練7艦隊の4隻をリラソスで燃料不要で高出力な重力放射エンジンに熱核放射エンジンから換装する」

軍学校生から驚愕の声が出る。

「そんなことして良いんですか⁉︎」

「学校から怒られますよ!」

「当然秘密裏にだ。それに、練習艦は有効射程がほぼ無い実体弾と演習弾しか撃てないが、エンジンを取り替えれば威力や射程で勝る重力子レーザーが撃てるようになる」

「それだけ自衛手段が増えると言うことです」

「セレスの言う自衛手段としてよりは、重力フィールドの高出力展開が主な目的だな。練習艦はデブリを弾く程度のフィールドしか張れないからな」

「取り敢えずリラソスでやることについてはこれくらいだ。平和に行けば何もなしで帰ってこられる。みんなは何かあるまで通常の訓練航海をしてれば良い。では解散!」

「「「「「了解」」」」」


出港時刻になり、教員たちの乗る連1艦隊から順に出港していく。

「出港準備よし!」

「では行こうか。練7艦隊、出港!」


そうして練習艦隊は各自出航していくのであった。この先に過酷な試練があると知らずに。

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