第17話〜チョコ

チョコの名前はチョコです。


名前はあるじにもらったのです。


大切な宝物なのです。


チョコはほこり高きあるじの番犬なのです。


あるじをお守りするのがチョコの役目なのです。


あるじの敵はこのりっぱな爪(ちょこん)とキバ(ちまっ)でたおしてやるのです!




あるじとの出会いはふかいもりの中。


おなかが空いてうごけなかったチョコを、あるじが助けてくれたのです。


チョコはおやのことはよくおぼえていません。


気がついたら一人で、何もできなくて。


たださむくて、おなかが空いて、さびひかったのはおぼえてます。


あるじの手がやさしくチョコを包んできて、だきしめられて。


あったかくて、あるじのむねの音が心地よくて。


あるじに助けられたあの日、生まれてはじめてぬくもりを知ったのです。


だからチョコはあるじのためにがんばるのです!




あるじにひろわれてからあっという間に時間がすぎていきました。


チョコの体は小さくて、必死に走ってもあるじたちに追いつくのはむずかしくて。


それでいつもあるじがだっこしてくれたり、カバンに入れて運んでくれます。


チョコ的にはあるじのポケットの中がお気に入りだったりするのです。


でもでも、早く大きくなってあるじと一緒に走りたいのです。


丸くて小さくて毛糸玉みたいでカワイイなんてあるじは言いますが、失礼しちゃうのです。




そうそう、あるじの他にも一緒に旅をしている人たちがいるのです。


おっきくて黒くてこわそうだけどやさしい人と、まっ黒でこわいけどあるじたちがいない時はチョコと遊んでくれる人です。


あるじのししょー?と言う人たちらしいです。


よく分からないのです。


でもみんなやさしいのです!




ある日あるじとおくたが出かけて、チョコはおるすばんになりました。


おうるがいるけど、あるじがいないのはヤなのです。


行かないでとお願いしたのですが、チョコが一緒だとあぶないのだそうです。


おとなしくおるすばんです。


しっぽを抱いて丸まります。


毛糸玉とか毛玉なんて言われても、チョコにはりっぱなしっぽがあるのです。


……あ、これしっぽじゃなくておなかの毛でした。


しっぽはどこなのです?





しっぽを探しているうちにおくたが帰ってきました。


代わりにおうるが森の中に入っていきます。


チョコはおくたにおなかをなでてもらいました。


わふん♪


しばらくしてあるじが帰ってきました。


わふっ!


うれしくてしっぽがブンブンうごきます。


あ、しっぽがあったのです。


そんなことよりあるじです!


全速力であるじに向かって走ります。


とびついたらやさしく受け止めてくれて、しかも干し肉!をくれたのです。


カジカジ。


わふわふ♪


ってあれ?


なんだかあるじが元気ないみたいです。


どうしたのです?


はむはむ。


むはー!うまー、なのです!

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