第17話

「新たな舞姫だって!!」

「そうじゃ、新たなヒーローには新たなヒロインがおって、当たり前じゃろ?」

「それだと、俺が今度『ロリ勇者』と呼ばれる事に・・・」

「安心するがよい、主殿には既に立派な二つ名が既に有るではないか?」

「はぁ?俺は知らないぞ?」

「フッフッフッ、それはじゃな、“息子はスピードスター”じゃ!!」

「それ!ヤメロ!!」


ビューヘルンが二つ名で俺の心に傷をえぐった後、【ドカン!】と大きな音と共にフエイル がこちらに吹っ飛ばされた。


「フエイル大丈夫か!」倒れたフエイルに手を差し出すと。


「悪い、時間稼げなかった。」と、手を取り起き上がった。


(ビューヘルンとの言い争いで戦闘中だって事を忘れてた・・・う、うう、目を合わせれない。)


「よ、よし!どれだけ強くなったか試してやる。」


誤魔化しつつリッカの応援に向かおうとすると。


「待つのじゃ主殿。」とビューヘルンが止めに入った。


「なぜ止める?」

「この戦闘、あの二人に任せるのじゃ。」

「あの二人?」


変異種のオーガベチャリリスの因子の前にはアイリが、そしてリッカを庇う様にミイナが既に立っていた。


「お、おい!あの二人は・・・」

「大丈夫なのじゃ、まぁ見ておるがよい。」

『ふん、何が舞姫じゃ!我が仲間に加えてやる!』


♦変異種オーガのターン


角から禍々しいオーラが吹き出し、アイリを包み込もうと襲いかかる。


アイリは胸の前で【パン!】と両手を叩くと同時に、両手からとてつもない魔力の波動が放たれ、禍々しいオーラが吹き飛ばされる。


「なんだ!あの魔力は!」


俺は、アイリから放たれた強力な魔力の波動にビックリした。


♦️ミイナとアイリのターン


「それじゃぁ行くよー」


との声と同時に天高く両手を上げると、片手でようやく持てるほどの大きさのボールが1mほどの高さに生成され、重力に負けて落ちてくる。


【ポン】と全身のばねを使って両手でそのボールをアイリがいる上空に打ち上げる。


アイリは高くジャンプし「そ~れ」との掛け声とおともに右の掌でボールを変異種の足元へと打ち出した。


「「合同必殺!バレーボール!ネットが無いから、ジャンプ低くても大丈夫!アターック!」」


ボールは打ち出したと同時にどんどん大きく成り直径5mほどの大きさになると地上に接触。


【ドゴォォォォォォォォォォォォォォォォン!!】『グワァァァァァァ!』


爆発と同時に変異種が空高く飛ばされる。


♦ミイナのターン


変異種が地上に落ちる寸前に、魔力弾を右手に出し、逆手のまま腰横に当て、右足で軽くジャンプしつつ大きく左足を踏み込みつつ、腕を大きく勢い良く回し一周した腰の辺りで魔力弾を放つ。


「必殺!ソフトボール!人に向けて投げたら危ないんだからね!」


【チュ~ン、ドゴンンンン!】『ごは!』


投げたボールは変異種の落下地点で地上に触れ爆発、そして舞上がる変異種。


♦アイリのターン


両手に魔力弾を作り、何発も上空へ打ち上げる。


「必殺!魔力弾を下から見るか、横から見るか!」


【ヒュルルルルル、ドガ~ン!】


上空で魔力弾が次々と炸裂する。


つぎつぎと放たれる二人の攻撃により、変異種は地上に落ちる事無く舞い続ける。


その光景を目の当たりにし、口をアングリしている俺達。


そしてある事に気が付いた。


「ちょっと待て!舞姫って勇者列伝だと⦅魔物と戦う姿は舞うが如く⦆とある!これのどこが舞っているんだよ!」


「何を言っておる主殿?舞っておるではないか・・・敵が。」


「はあ?」


「いや~あの時は苦労したぞ、勇者列伝を書くと言った皇帝に“敵が舞うより、舞姫が舞った方が物語として美しいぞ”と説得するのに丸一週間掛かったからじゃ!その頃には皇帝も目の下に熊を作って少し窶れておったがの!ハハハ」


「・・・」


俺達は確信した、この邪剣のと関わると不幸になると。

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