第11話 風祭はでこぼこ道は転んでしまう。
地面にたたきつけられて埋まったヒットにより、紅は真剣モードに入り、大和の勝負勘のあるコースに従うようになった。
大和は土御門が次、本当に打てるのかを考えていた。
毎朝、バッター対決していた土御門はたしかにタイミングは合っていたもののコースが合わずに一度もバットにすら当てていない。
私の勝負勘によれば、土御門は今日の試合、すべてアウトという結果になっていることを伝えている。
1度目のヒットは毎朝のバッター対決で、紅の癖を見抜いたためだと予想している。
その後の状況として、打たれたことによりピリピリした状況は続いているが、ストライクのカウントは順調に稼いで、3アウトを取った。やはり、毎朝のバッティング通りの結果となった。
土御門の攻撃は3アウトになったため、1回の裏に進んで攻撃と守備が変更された。
土御門はピッチャー、内野、外野にそれぞれ2体のゴーレム、1体のゴーレムがキャッチャーについた。
風祭は1番バッターで、少し意気込んでいる。
「1塁に出てやるから、大和はいつものようにヒットをお願いな。」
と風祭は1塁に絶対に出てやると気迫を滲みだしながら言った。
風祭はすぐに一塁への道を見て、平坦であることを確認して安心した。
しかし、土御門のゴーレムの腕を見て緊張感を持った。
ゴーレムと同等である球速150kmは恐ろしいが、紅の160kmより遅い。
私の場合、バットに当たれば確実に1塁に出れる。
自信をもって、バッターボックスに立ち、バットを構えた。
土御門は、おそらく150km台の剛速球を投げてくる。
風祭は軽くバットに当てた瞬間、ベンチは少しざわついたが、腕をかざして、プロペラの風に乗って、時速80kmで進塁する。
しかし、足に何かつまずいたような感覚があり、転びそうになる。
時速80kmの超加速により、転倒すると命すら落ちる可能性があり得るので、プロペラの風を使い、受け身を取った。
受け身をとって、少しバランスが崩れたが、そのまま進塁しようとするも、土御門はファーストに付いており、アウトを取られていた。
風祭は悔しい思いをしながら、ベンチに戻った。
「ごめん、一塁に出れなくて。」
風祭は申し訳なさそうに言った。
「ボール当たった後、あいつがゴーレムを作って、それを崩して土の塊を作ったことを大声で教えきれなかった。私たちが悪いわ。すこしびっくりして、声が出なかったの。」
巻島も申し訳なさそうに謝った。
風祭は平坦であった道を眺めていると、高さ30㎝の土の塊ができていた。
風祭は進塁するのが必死になりすぎて、久々にバランスを崩したと思い、実は
ショックを受けていた。
自分のプロペラの風に乗り切れなかったことが原因ではなかったことに安堵した。
「土御門のやつ、これは、私たちの分析を入念に行っているな。」
「まさか、2年前のタケノコを生やされて、進塁を防がれる試合を引っ張りだされるとはな。あの時は、最初からプロペラを使えなかったもんな。」
大和は、だいぶ昔の試合から分析していることの少し関心しながら言った。
「すまない。こんな障害物を飛べなくて済まない。」
風祭は、プロペラの風で障害物を乗り越えるは可能である。角度をつけると、風圧で風祭を浮かせることは2~3m可能である。
超加速の状態で着地すると、足を骨折する可能性が高く、風を使って勢いを殺している。そのため滞空時間がながくなってしまう。
実際、直線の道での進塁もかなりの技術を有しており、かなりの努力とセンスが必要とされる。
失敗すると以下のようなことがおこる。
風にうまく乗れずにバランスをくずしたり、ブレーキをかけるタイミングを間違えて外野まで移動したりと、長年の経験による技術が必要だ。
「風祭の長年の技術でこれはできないんだ。しょうがないよ。」
巻島は風祭をなぐさめた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます