第9話 紅の初球はアウトコース低め


練習は毎日して、そのたびに土御門と紅はバッター対決しており、すべて紅が勝っていた。


そう、今朝はバッター対決を行わなかった。


「4対1でギフティーボールをしましょう。勝ったら、私の言うとおりにしてください」

バッター対決を行わず、私たちに土御門は勝負を挑んできたのだ。


「おい、俺のボールを一度も打てないんだぞ。勝てるわけないだろ。」

と紅は煽った。


「そうですね。10球まではでしょう。30球以上投げるといきなりペースダウンするじゃないですか。」

と土御門は紅に煽り返した。


紅は、その言葉に対して言い返すことができずにひゅんとなってしまった。


「だから、紅さんのバテバテボールで勝ってもしょうがないから。3イニングで勝負しましょう。」

と土御門は提案してきた。


ライジングブラッドに使用制限があり、使い続けると貧血になる。それにより、ライジングブラッド使用下では150km以上の球速は30球が制限がある。

そのため土御門の言っていることは事実であり、認めないといけない。


「いいだろう。」

と静かに闘志を燃やしつつ、目をきりっとさせて大和は言った。


土御門の攻撃から始まったため、ピッチャーは紅、キャッチャーは大和、内野は風祭、外野は私と、いつもの守備位置についた。


しかし、大和はマウンドに行った。


「先ほど、お前の球の持久力がないこと言われたが、大丈夫か。毎朝バッター対決で勝っているんだ。絶対に負けないから安心しろ。」

と大和は紅をはげました。


「なに、言ってるの。あんなにやつに負けないよ。だから、いつものコースで頼む。」

と紅は大和に訴える。


大和はため息をつき、調子を崩れることを恐れてか。その要求を呑んでしまった。

大和は普通にやっていれば、紅は打ち取れると考えており、深くは考えていなかった。


ただ、あの礼儀知らずの命令を聞きたくないという思いが先行していた。


大和はキャッチャーの位置につき、プレイボールとなった。


土御門は、礼をした瞬間。


地面の土が土御門の腕にまとわりついて、土御門の腕はなんとゴーレムの腕そのものになっていた。


私たち4人とも、こんなギフトの使い方ができることにびっくりした。


ただのゴーレムを作るギフトではないことを思い知らされた。


おそらく、パワーはゴーレム並みになっている。つまり、土御門の言う1流アスリートの腕になっているのだろう。


パワーの弱い選手だと思っていた油断しており、打球をあげたらホームランになりそうなくらいのパワーアップに動揺は隠していれない。


その緊張感を破るために、大和は動いた。


「打たれなければ、大丈夫」

と大和が叫んでくれたおかげで、緊張感はなくなった。


そして、紅が低めのアウトコースになげて、試合は本当の意味で始まった。

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