第4話 風祭さんは風で人を判断している。
私たちは練習が終わり、グラウンドで土御門について4人で話していた。
「ねぇ~。土御門について思っていることを話しましょう」
と私は言った。
「守備、ミート、走力は、平均よりやや上じゃないか。でも打撃、肩に関しては平均よりやや下だな。そういったことを考えたら、基礎体力は平均だと思う。」
紅は、基礎体力面について述べた。
「いやいや。そんなことじゃなくてね。性格的な所よ。」
と私はつっこんでしまった。
「無愛想で、礼儀がないやつだな。」
と大和はびっしと答えた。
「やっぱり、そうなるんだよね。目の下のくまが無愛想な感じをより引き出しているんだよね。」
と私も同じような考えを言った。
「ねえ~。風祭なんで黙っているの。一番あなたの考えを聞きたいんだけど。」
と私は、一番気になる答えを知っている風祭に問いかけた。
「私も、無愛想というところは風も教えてくれているから正解だと思う。ただね。面白い風がちらほらあるんだね。」
風祭が考えこみながら、自分の感じた風について語ってくれた。
「私が感じた風をすべてを答えるね。
無愛想だが、仲間への思いは人一倍あって、勝利への執念が強い。勝利への執念は今まで感じた風の中では感じたことがないくらいの暴風だね。
私は、その風に期待しているんだよ。
きっと、私たちが見たことのない世界に連れていきそうでね。あいつの第1印象は悪くない。」
風祭は、明るい未来へ行ける期待を語っているためか。目がらんらんと輝いていた。
「そうだね。風祭のサブギフトでの人柄当ては正確だもんね。信じられないけど、そうなんでしょうね」
と私は意外そうに答える。
彼女のギフトは両腕のプロペラであり、種類は体の変化を与えている体タイプに属している。体タイプと相性がいいのは人より優れた感覚を持ったり、予知夢などの第6感を持ったりする感タイプ・物質を作る創タイプである。
基本、ギフトの能力は一つにとどまらず、相性の良いギフトの能力も付属して現れることが多く見られている。
風祭で考えると、創タイプの部分はプロペラで風を発生させること。感タイプの部分は、人柄を感じることができる。相性の良いギフトの特徴のことをサブギフトという。
風祭曰く、人の心にはプロペラがあり、そこからの人柄という風が吹くらしい。
そこに関しては正直何を言っているかは理解できていないし、風祭本人もこの感覚は他人には理解できてないということを承知している。
しかし、風祭の性格の診断は概ね間違いはないから、信じている。
「勝利への執念か。やっぱり、あの時のテープの回復の話の時さ。私たちのプロ意識の低さを否定したのかな。」
私はみんなに聞こえないくらいの小さい声でつぶやいた。
私たちはギフトで何かをできればいいと思っており、勝敗よりも同じような苦労を抱えてきた仲間といればいいって心のどこかで思っている。
土御門に私のチームの実力は、中堅よりやや下の位置についている。と説教を受けている気分になっていた。
実際に、ここのオーナーはギフティーボールのファンでどんな成績を残してもチームは崩さないだろう。
その後、この場は離れて、それぞれ自主練習に移った。
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