第3話 巻島のテープは長くて、ボールを取れちゃうから守備が強いぞWW


センターで、生意気な後輩に自分の守備力が優れていることを分からせてやることだけ考えた。


紅は、センター方向にボールを打ち上げて、私は淡々とギフトを使わず、守備を行った。


ギフト使わない結果は、10球中9球とあいつと同じ成績で、少し悔しかった。


紅は、ライト方向へフライを上げた。


私は全力で走っても届かないところにボールが落ちそうになる。


だから、両腕にあるギフトから勢いをつけてテープを出した。


そのテープでボールを巻き付けて、届かないであろう球を取った。


「巻島のテープはやっぱりすごいな。」

ライトに打ち上げた紅はつぶやいた。


順調にテープを使って、ライト、レフト方向へとランダムに来る球を取っていた。


8球目あたりから、粘着力が落ちてしまって、テープはくっつかなくなり、ボールを取りこぼし始めた。


ギフトありでの守備では、10球中8球と私が圧勝して、私は満足している。


「私の方が外野の守備はうまいみたいだね。」

少し茶化すように私は言った。


「そうみたいですね。」

と興味なさそうに土御門は答えた。


「少しだけいいですか?

外野は、巻島さん一人で守っているからテープの粘着力がかなり速いペースで落ちていき、外野の守備力が薄いのは試合を見ていれば、分かるんですよ。

明らかに、試合中テープの粘着力は回復している場面が多いですよね。

その回復法って、ベンチでしかできないのですか?」

と疑問を私に投げかけてきた。


私はあまりにも鋭い指摘に感心してしまい、今までのイライラが少し吹き飛んでしまった。


「鋭いね。たしかに回復法は存在しているよ。」

と感心してしまったので、疑問に対してしっかりと答えていくつもりだ。


「タンパク質を摂取することで、粘着力はすこし回復するよ。食べるってさ、ベンチでしかできないじゃん。」

と私は理由を話した。


「えっ?」

と土御門は呆れたように驚いた。


「ルール上、グラウンドでプロテイン食べきれますよ。」

と土御門はなにか軽蔑したように答えた。


グラウンドに普通の野球で扱わない道具は1種類のみ持ち込み可能というルールは存在している。だから、そのルール上だとプロテインを持っていて、食べることは可能だ。


「ルール上でいいからって、神聖なグラウンドで物を食べるなんて気にくわないぞ。武士道に反している。」

と大和は自分の武士道を否定されたことに対して、イラついた口調で土御門にぶつけている。


「なるほど。」

と土御門は無愛想に答えた。


「このまま、話が続くと残酷な結果になるそうだからね。大和も落ち着いてね。練習に移ろう」

と私はあわてて、この場を収めようとした。


練習をそのまま行ったが、土御門はメニューに問題なくこなしていた。


練習が終わった後、土御門は早々と帰った。

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